★ピグアナイドは糖新生抑制、チアゾリジンはPPARアゴニスト。
■ピグアナイド
●種類
・メトホルミン(メトグルコ、グリコラン、メデット)
・ブホルミン(ジベトス)
●機序
・グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ(mGPD)の特定の型
…グリセロールリン酸→ジヒドロキシアセトンリン酸
乳酸→ピルビン酸
⇒これらは糖新生の利用される
⇒これを阻害することで、糖新生を抑制
⇒余ったグリセロールと乳酸は血中へ
・LKB1(癌抑制遺伝子)を活性化
⇒AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化
⇒アセチルCoAカルボキシラーゼのリン酸化を阻害
⇒脂肪新生↓、遊離脂肪酸↓
・末梢組織(肝や筋)でインスリン感受性↑;特に食後
●特徴
・2型糖尿病で最初に使う内服薬
…非肥満例にも有効
・低血糖を起こしにくい
・血糖を20%、HbA1cを1.5%下げると言われる
・体重減少作用あり
・癌の発生を抑えると言われる;LKB1活性化による細胞成長抑制
●副作用
・消化器症状、金属の味がすることが多い
・再生不良性貧血(稀)
…ビタミンB12吸収が低下することによる
・乳酸アシドーシス(0.009%程度)
…循環血漿量低下、低酸素の背景がある時に起こるといわれる
⇒禁忌など、参照:造影剤使用+メトホルミンで乳酸アシドーシスとなる機序、背景
■チアゾリジン
●種類
・ピオグリタゾン(アクトス)
●機序
・peroxisome proliferator-activated receptors (PPARs)に結合
⇒骨格筋のインスリントランスポーター活動↑:感受性↑
脂肪で炎症関連遺伝子の発現↓
CNSに作用しインスリン感受性↑、接触中枢刺激し体重↑
膵臓のβ細胞の機能を保つ:インスリン分泌、血糖値↓
尿細管でNa再吸収↑:体液貯留
●特徴
・メトホルミンと同様、第1選択になりうる
⇒しかし副作用とコストの面から、メトホルミンが優先される事が多い
…肥満例(インスリン抵抗性あり)に有効
・血糖を39〜65、HbA1cを1〜1.6%下げる
・低血糖を起こしにくい
●副作用
・体重増加:脂肪細胞増殖、TG蓄積
・体液貯留:心不全増悪、浮腫
・骨密度↓、骨折:そこまで寄与しないが、骨密度低い女性にはなるべく避ける
・膀胱癌:増えるという説もある
・他、肝障害、黄斑浮腫、湿疹
参照 UpToDate