内分泌・糖尿病 薬剤

糖尿病薬の機序と特徴;インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬、GLP-1アゴニスト)

★DPP-4阻害薬はadd-on drug、GLP-1アゴニストはDPP-4阻害薬より効く。

■DPP-4阻害薬

●種類
・シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)
・ビルダグリプチン(エクア)
・リナグリプチン(トラゼンタ)
・テネグリプチン(テネリア)
・アログリプチン(ネシーナ)
・アナグリプチン(スイニー)
・サキサグリプチン(オングリザ)
eGFR<30の場合トラゼンタかテネリアが推奨される
肝障害がある場合、エクアはやめておく。

●機序
食事摂取すると小腸のL細胞からGLP-1放出
…膵頭からの、血糖上昇に伴うインスリン放出↑
 +胃内容排泄を抑制血糖上昇に伴うグルカゴン放出↓、食事量↓
DPP-4は多くの細胞表面に発現しており、GLP-1を含むペプチドを不活性化
⇒DPP-4阻害薬はGLP-1の不活性化を抑制
※GLP-1アゴニストと比較し、GLP-1への影響はマイルド

●特徴

単剤でいくことは少なく、普通メトホルミンか何かに追加する薬(add-on drug)
・インスリン依存の患者には使う;必要インスリン量が減る
・低血糖をほぼ起こさない
・腎機能悪くても使える
⇒慢性腎不全の高齢者(低血糖恐い)には第1選択として良いかも

●副作用

・ほとんどなし
…因果関係不明だが、膵炎、肝酵素上昇、皮膚障害


■GLP-1アゴニスト
●種類

・リラグルチド(ビクトーザ):1日1回
・エキセナチド(バイエッタ):1日2回
・エキセナチドの持続性注射剤(ビデュリオン):週1回
・リキシセナチド(リキスミア)
※eGFR<30の場合、エキセナチドは使えない

●機序

・GLP-1受容体作動薬(上記参照)

●特徴

経口でうまくいかない時、DPP-4阻害薬の変わりに使える
・HbA1cを1程度低下させる
DPP-4阻害薬より効果が強い
 ※膵炎、1型DM、重度胃腸障害には使わない
皮下注射の薬
保険で血糖測定可能。患者教育という意味でも良い
 ※血糖降下薬内服だけの人は保険で自宅で血糖測定できない
・体重減少作用あり:30週で1.5〜2kg程度減少する

●副作用

・嘔気、嘔吐、下痢:10-50%程度にみられる
 ⇒用量漸増させてリスクを回避する
・急性膵炎
 ⇒胃腸障害との鑑別を要する。一度おきたら投与禁忌
・注射部位の皮膚反応

参照 UpToDate、糖尿病治療ガイド2014-2015

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