消化器・肝胆膵 薬剤

便秘薬の使い分け

★マグネシウム→アミティーザ→刺激性下剤頓用。食物繊維と運動とプロバイオティクス。

◎刺激性下剤の頻用は、ハウストラの消失をまねき、刺激性下剤への耐性が進みます。すでに定期的に飲んでいる人は、回数を減らしていきましょう。

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■便秘の分類
1) 弛緩性
・腸が動かない
治療:機械性下剤⇒上皮機能変容薬⇒大腸刺激性下剤

2) 痙攣性

・副交感神経過緊張⇒大腸壁の緊張増加,蠕動運動亢進
IBSでみられ,便が兎糞状になります。
治療:機械製下剤 or 上皮機能変容薬⇒過敏性腸症候群治療薬 or 副交感神経遮断薬
※大腸刺激性下剤は禁忌です。

3) 直腸性
直腸肛門反射の低下
治療:バイオフィードバック療法
※便意があっても排便しない,という生活習慣が原因です。

■便秘薬詳細
<機械性下剤>

酸化Mg、マグミット
・日本ではマグネシウム製剤一択でしょう。海外では薬価の違いから、他の選択肢が出てくるそうです。
 便秘の第一選択薬です。

機序:
・胃内酸性下で塩化マグネシウムとなり、腸管内で炭酸水素マグネシウムとなる
⇒腸管内の浸透圧を上げ、水を引き寄せる
⇒腸内容量増大による腸運動↑ + 腸内容物の軟化
⇒排便促す

※内服なので,効果がでるのに時間かかります。また、多めの水で服用するのが大事です。
PPI内服していると、胃内酸性が緩和されるため、効果がでません

※PPI以外にも、併用に注意する!
他の薬物を吸着,キレート形成して難溶性となります
=小腸から吸収されにくくなる
⇒テトラサイクリン,ニューキノロン,ビスホスホネート,ジギタリス,鉄剤,アレジオンなど

陽イオン交換樹脂に吸着される
⇒ケイキサレート,アーガメートのK吸着作用が低下

制酸作用により胃内pHが上昇する
⇒カルシウム製剤からCaが離脱しにくくなります

<腸管上皮機能変容薬>
アミティーザ、リンゼス(IBSのみ)

機序:
・小腸のクロライドチャネルを局所活性化
⇒腸管内への腸液分泌を促進
⇒腸内容量増大による腸運動↑ + 腸内容物の軟化

※これが出てきたため、治療の選択肢が増えました。安全に使えるので、酸化マグネシウムの次に使える薬です。
・分2の内服で、容量も12μgと24μgの2種類があるので、調整の幅があります。

腸管上皮機能改善作用があると言われています
⇒腸管上皮機能は加齢とともに低下していきます。これも、アミティーザ使用する根拠となります。

<大腸刺激性下剤>
・非常に有効ですが、耐性が付きます。必ず頓用で使い、量は減らしていくべきです。

センナ関連薬:プルゼニド、アローゼン
機序:
・腸内細菌によりレインアンスロンとなる
⇒これが腸管運動を刺激
※8~12時間で効くので,翌朝の効果を期待して就寝前に服用させます。

ラキソベロン
機序:
・大腸細菌叢で加水分解
⇒ジフェノール体(一部が吸収され,グルクロン酸抱合)
⇒これが腸管刺激します
※習慣性が少なく,安全性が高いと言われていますが、これも耐性化し、どんどん必要量が増えます。

<坐薬,浣腸>
グリセリン浣腸
・直腸刺激し,すぐ排便
⇒直腸に便が近い時,より有用
 1回10~150mLを注入
 ・左側臥位で,1回に30-120mlで10秒で30mlの速さで注入します

※グリセリンが損傷部位から血液中に吸収されると腎不全を起こし得ます。
⇒直腸診で確認+チューブ先端が直腸前壁に当たらないよう注意

<漢方>
大建中湯
虚証(虚弱)、寒証(冷え)に適応
※イレウスの再発予防に,特に効果的
 15g 分2~3回 食前又は食間 経口

参照 頻用薬の使い分け、講演会等

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