内分泌・糖尿病

インスリンスライディングスケールの問題点

★インスリンスライディングスケールとは血糖値に応じてインスリン量を選ぶ方式。

◎指示にはいっているインスリンスライディングスケールについて知っておきましょう。投与量を決めるスケールの選び方が大きな問題点です。

インスリンスライディングスケールの問題点


測った時の血糖に応じて、超速効型インスリンを投与
 …1934年に提唱され、簡便のため世界中に広まりました
 (この頃は、尿糖の量でインスリン量を調整していた)

SSIに利益があるとする研究は、実はMedline上に1つもないのです
 +悪影響がある、とする研究が複数あります
 +インスリン強化療法の方が優れる、という研究は沢山あります
・世界的に、スライディングスケールを止めるよう勧告されてます!!
 …JAMA: Time to stop sliding など


■スライディングスケールの問題点


食後の血糖上昇を抑えられない(食前の血糖分だけ下げようとしているだけ)
 ⇒高血糖のリスクが高いです

②就寝時は食事を食べない
 ⇒低血糖リスクが非常に高い
 ⇒反跳性高血糖となりえます

③血糖を上げてから下げるので、振れ幅が大きい
 ⇒振れ幅は心血管リスクです

④基礎分泌が無い場合、超速効型の効いている時間しか効果がない
 ⇒それ以外の時間の高血糖を全く是正できません

⑤個人によりインスリン感受性が全く異なる
 ⇒統一した方法で適応できるはずがないです

※血糖管理で絶対に避けるべきなのは、低血糖と、超高血糖によるケトアシドーシスなど
⇒SSIはどちらのリスクも上げる
⇒そもそも利益が確認されておらず、やらない方がましかも
⇒しかも、必ず他の方法を用いて血糖コントロールすることができる

参照 UpToDate,  JAMA. 2009;301(2):213-214

-内分泌・糖尿病