★効くシチュエーションもある.
◎免疫低下するため全てのARDSに適応はないですが、発症早期の中〜重症には適応です。
■作用機序
●ARDS:肺の過剰炎症(急性期)
⇒間質において血管透過性が亢進
⇒血漿成分漏出,多核白血球浸潤
●ステロイド
⇒①肺毛細血管からの血漿成分漏出を減少,多核白血球の遊走・接着を抑制
②白血球内の核にあるステロイド感受性遺伝子に作用,抗炎症蛋白の発現を増強
③NF-κBによる炎症蛋白の発現を抑制
⇒肺損傷を改善させます
■エビデンス
作用機序は明らかにされている割に,どんな状況でも効くわけではないです.
1.発症早期に対する高用量ステロイド
・一次的な改善はあるかもしれないが,生存率・ARDS改善率は変わりません
⇒無効
2.早期の中〜重症ARDSに対する低用量ステロイド
・PEEP10以上でP/F ratio<200の場合
⇒1mg/kgのmPSL投与+漸減で予後改善する
⇒治療推奨されます
3.持続するARDSに対する中用量ステロイド
・炎症が持続するARDSは予後が悪い
…7-14日目には線維化が始まる
⇒この間に2mg/kgのmPSL投与+漸減
⇒ICU滞在期間など改善(死亡率は変わらないかもしれない)
⇒治療推奨されます
※但し,14日目以降より治療開始した場合,明らかに予後悪化させる
⇒治療禁止
参照 intensivist, ICU book