★メトホルミンは、基本的に2型糖尿病患者の第一選択。
●種類
・メトホルミン
…商品名:メトグルコ、メルビン、メデット、グリコラン
・ブホルミン
…商品名:ジベトス、ジベトンS
※ブホルミンはほとんど使われない
●機序
①肝臓での糖新生を抑制
…mitochondrial GDPという酵素を阻害
②筋肉での糖取り込みを促進
…AMPキナーゼ活性化
⇒GLUT4が細胞膜へ移動;骨格筋、心筋、脂肪細胞
⇒細胞内へ糖取り込み
③食事量、体重がやや↓
●特徴
・安い
・膵臓を叩かずにインスリン抵抗性を改善させる、良い薬
・太っている2型糖尿病患者に使いたい
⇒やせていても使える
※1型DMはどの糖尿病薬も保険適応ない
●効果
・単剤でHbA1c 1.5%程度下げる+心臓病予防効果あり
・TG, LDLも下げる(脂質異常も改善しうる)
…AMPキナーゼ活性化の効用
・癌のリスクを減らすかもしれない
●使い方
・250mg 2T2xか3T3xから始める
⇒外来毎に、250-500mgずつくらい増量する
⇒最大2250mgだが、ふつう単剤で1500mgくらいまで増量したら多剤併用を考える
●副作用
・用量依存的に副作用が出現する印象
・頻度が多いのは下痢、嘔気など消化器症状
・内服時の造影剤使用で乳酸アシドーシスの報告あり
⇒造影剤使用の前後48時間以上、内服中止する必要あり
⇒造影剤使用の多い科では、使用を避けられがち
※乳酸アシドーシスとなる機序
⇒参照:造影剤使用+メトホルミンで乳酸アシドーシスとなる機序、背景
●禁忌、使うべきでない患者
・腎障害:男性Cre≧1.3, 女性Cre≧1.2, 透析
…eGFR>60なら安全、それ以下は投与控えることを検討するべき
・肝障害:AST, ALTが正常の2.5倍以上
・多量飲酒者
・心不全
・急性期疾患:感染、手術前後、ショック、脱水、外傷
・高齢者(75歳以上)、寝たきり、全身状態悪い患者
…上記疾患になりやすいため
※乳酸アシドーシスになりそうな病態、という基準
参照 メトグルコ添付文書、UpToDate