内分泌・糖尿病

なぜケトアシドーシスとなるか;高血糖への生理的反応、異常

★アセチルCoAが余るため。

■高血糖への生理的反応
・グルコース(Glu)が血中へ取り込まれる
⇒Gluが膵臓β細胞へ取り込まれる
⇒様々な経路を介して、インスリンが分泌される
⇒血糖低下
●インスリンの役割
①肝臓のGlu合成を阻害
②グリコーゲン分解、糖新生を阻害
③骨格筋と脂肪でのGlu取り込みを促進
④グルカゴン分泌を阻害;直接的阻害+膵α細胞を阻害

■インスリン抵抗性/分泌不全の場合
●血糖上昇機序

・末梢組織のインスリン抵抗性↑
⇒食後血糖上昇
肝臓での糖新生↑
…①脂肪からグリセロール、筋からアラニンなどの前駆体が肝臓へ移動
 ②糖新生経路の酵素活性↑
 ③グルカゴン分泌↑
 ④脂肪分解↑⇒脂肪酸↑⇒脂肪酸のβ酸化により糖新生のエネルギー↑
⇒空腹時血糖も上昇

●ケトン体産生機序
カテコラミンにより上記機序亢進(きっかけ)
⇒ホルモン感受性リパーゼ活性↑、末梢の脂肪組織で脂肪分解
⇒脂肪酸、グリセリン↑
⇒脂肪酸はアルブミンと結合し、肝臓へ取り込まれる
⇒脂肪酸とコエンザイムAが結合、アシルCoAとして活性化
⇒インスリン少なくグルカゴン多い条件→アシルCoAがミトコンドリア内に取り込まれる
⇒β酸化にてアセチルCoAとなる
⇒①クエン酸回路に取り込まれ、ATPとなる
 ②細胞質で脂肪酸合成に使われる
 ③ケトン体合成回路にてアセトアセチル酸(ケトン体)が合成される
  ⇒一部はβヒドロキシ-ブチル酸(ケトン体)となる
①に入れない余ったアセチルCoAが、③へ入る仕組み

■高血糖高浸透圧症候群(HHS)とケトアシドーシス
●なぜHHSでケトアシドーシスとならないか(仮説)

・HHSではインスリンの欠乏性は弱い
少ないながらも、残ったインスリンで脂肪分解をブロックできる
(血糖を低くするにはインスリン量は十分でなく、高血糖となる)
 …この2つの用途に閾値の違いがあるということ
⇒ケトン体生成に至らない

参照 UpToDate

-内分泌・糖尿病