消化器・肝胆膵 血液、輸血

食道静脈瘤硬化療法でハプトグロビン製剤を使用する理由

★ヘモグロビンによる腎障害を防ぐため。

食道静脈瘤に用いられる硬化剤5%EO;オレイン酸エタノールアミン)は溶血作用があります
⇒以下に説明するように、多量溶血は腎障害につながります
⇒ハプトグロビンを投与する事で、腎障害を防止することができます。

※ハプトグロビンの語源
ハプト+グロビン
 …ハプト=ハプテン
  =単独では抗原にならないが,適当な蛋白と結合することで抗原となるもの
  =グロビンにくっつく、ということ
ハプトグロビンはヘモグロビンにくっつき、肝臓に運び正常に処理する

●溶血すると
赤血球からヘモグロビンが流出します。

●大量に溶血すると
ヘモグロビンに結合するハプトグロビンが不足します。
遊離ヘモグロビンが血中に残ります

遊離ヘモグロビン:分子量34000
⇒これは腎臓の糸球体を通過します
⇒尿細管上皮細胞に取り込まれ,ヘムとグロビンに分解されます
⇒このうちヘムが腎毒性を発揮

ということで、多量の溶血が生じる場合は、ハプトグロビンの投与が必要となります。

適応:この他,熱傷,輸血,体外循環下開心術など

参照 UpToDate, 日本血液製剤協会

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