循環器

僧帽弁狭窄症でⅠ音増強なのに,大動脈弁狭窄症でⅡ音減弱の理由

★心室は自発的に収縮するが,大肺動脈圧は血流の多さに依存することによる.

実臨床ではまず話題になる事がない話ですが、国家試験では必要な知識です。

僧帽弁狭窄症でⅠ音増強なら,大動脈弁狭窄症でⅡ音増強では、と思ってしまいがち。

なのでよく試験に出るのです。

機序がわかると間違えないようになります。

■Ⅰ音とは

房室弁(基本的には僧帽弁)が閉まる音

・よって、音の強さは,拡張期終末の弁の位置と相関する
 …この時開いている程音が大きくなるということです

標準では,拡張期末期に弁がほぼ閉まりかけており
 ⇒収縮期開始時に完全に閉まります。

●僧帽弁狭窄症(MS)の場合

・逆流のため、心房から心室への血流が遅い
拡張期終末に,弁がかなり開いている(☆)
収縮期開始と同時に,弁が急激に閉まる
Ⅰ音増強

というわけです。

なお、Ⅰ音増強は以下の場合にみられます。
①☆の状況:右左シャント,頻脈により拡張期が短い,PR短縮により収縮期開始が早い
②心室収縮力↑=hyperdynamic states

■Ⅱ音とは

・大動脈弁,肺動脈弁の閉まる音
⇒拡張期開始時に、大動脈圧,肺動脈圧により閉まる

拡張期開始時の大動脈圧が高いと増加します

●大動脈弁狭窄症(AS)の場合

・大動脈への血流が減る
拡張期開始時の大動脈圧が低い
 +弁尖が硬くて動きにくい
Ⅱ音減弱

 というわけです。

逆に,肺高血圧や全身高血圧ではⅡ音増強します。

-循環器