消化器・肝胆膵

胃内容排泄遅延の病態は4種類だが、臨床からは少し遠い話

★胃手術後、糖尿病、幽門肥厚、イレウス、機能性消化不良。

■胃からの排泄はどのような機序か

●3つのレベルで管理される
①自律神経
・副交感:迷走神経(主に背側運動核)⇒筋層間神経叢へ
・交感:T5〜T10(中間外側核)⇒腹腔神経節⇒胃の平滑筋や幽門括約筋へ

②消化管神経

・自律神経と協調し、神経網を形成
腸の運動性を調節する

③平滑筋

・平滑筋は様々な伝達物質が結合できる受容体を発現し、反応する
ペースメーカー細胞といい、自律して脱分極するものあり
⇒隣の細胞へ興奮が伝播
胃の円周+長軸で、ものを送るよう、うまく収縮する
胃底部(fundus)胃前庭部(antrum)で役割が異なる
…胃底部でものを貯めて消化、前庭部は高圧力で混ぜ、すりつぶし、肛門側へ送る

● 蠕動反射

・胃の拡張が刺激
⇒①アセチルコリン、タキキニン、サブスタンスP/K放出
 ⇒胃平滑筋収縮
 ②NO、VIPなど
 ⇒拡張している部分以下の消化管を弛緩させる


■胃排泄遅延の原因、機序
①胃近位部の運動障害

迷走神経離断:液体はすぐ腸へ行くが、固いものが排泄遅延する
糖尿病:運動、運動協調が障害される

②胃前庭部の運動障害

・圧力が足りない、頻度が少ない(機能性消化不良
胃不全麻痺

③幽門障害

特発性幽門肥厚による狭窄:NOを含む神経が欠如しており、弛緩できない
糖尿病性胃不全麻痺:胃の運動は低下するが、幽門は収縮しがち

④小腸の排泄遅延

イレウスのこと

※「機能性消化不良」は臨床上の定義であり、どこに分類されるかは重要でない(UpToDateでは①に分類しているが、①でも②でもあり得る)

参照 UpToDate

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