★小腸は通常ガスないため.
◎小腸ガスでイレウスを疑いますが、医学的介入の判断は必ずしもstraight forwardではありません。
■小腸ガスとは
・腹部Xpを臥位で見ます
・小腸の部分にひだが見えます。これが小腸ガス。
⇒大腸ガスは通常でも存在し,ひだが見えません。
※立位では二ボーが見えます.
■小腸閉塞(イレウス)の病態
・閉塞の近位に、
⇒小腸の分泌物が蓄積するため,拡張します。
・小腸はほぼ無菌のため、
⇒細菌増殖+飲みこんだ空気の蓄積 により、
⇒拡張を助長されます。
・状態が続くと小腸壁が浮腫し、
⇒本来の吸収能が阻害され、
⇒更に拡張,脱水となります。
■小腸ガスはどのような時に見られるか
①機械性イレウス…特に小腸閉塞
②急性腸炎
③麻痺性イレウス…虫垂炎,膵炎など
⇒病歴で②は除外でき,①と③の鑑別が重要となります.
⇒治療が全く異なってくる+イレウスならこれ以上の検査は必要ないからです。
※②は様々な腹部レントゲン像を呈す
鑑別…
・有意に拡張しているか=3cm以上の拡大
・閉塞部位の前後で口径差があるか
⇒拡張していない小腸は見えないから,評価難しいです。
⇒大腸ガスの無い事で判断します。
…病変が小腸だけなら,それより尾側は中身ないはずです。
・立位で液面が揃っていないか
⇒麻痺性イレウスは腸蠕動↓により内容の移動なくなります
⇒体位の変動によって液面が大体均一になります。
※closed loop obstructionには注意する
⇒小腸ガスがはっきりしないことがあります
…closed loop内は液体貯留となるため,ガスが見えない
⇒ループ状,少量の小腸ガスから疑ってかかります
◎一方、小腸ガスがあるからと言って、イレウスの診断とは必ずしもなりません。
教科書と異なるところですが、CTを取って狭窄起点等評価します。
実際、ウイルス性腸炎でも小腸ガスを呈し得ます。
参照 UpToDate,臨床研修のための一般外科指南書