★輸血は濃くて、様々な抗原が含まれている。
◎輸血の副作用をまとめています。
↑こんなものまで売っています。
①Volume overload
・濃厚赤血球(RCC, MAP)輸血
⇒Hb高い+Na多く含むため、高張である
⇒輸血により水を血管内に引き寄せる
⇒血管内volume↑
⇒①心不全悪化(TACO), ②希釈による血小板減少
●Transfusion associated circulatory overload (TACO)
・overvolumeによる心不全
・0.9ml/minでも生じうる
⇒但し、TACO予防に輸血速度の制限が有用!
…具体的には2-2.5ml/kg/h(1パック1.5-2時間の速度)、また1日2単位以内の輸血
※心不全患者に輸血速度の制限を行う理由。
②Transfusion related acute lung injury (TRALI)
・輸血による急速な肺障害(ARDS)
・リスク:肝臓移植、慢性アルコール中毒、ショック、呼吸器管理、喫煙、高IL-8、水分貯留状態
・血液製剤中の白血球抗体(HLA抗体,HNA抗体)によるものと考えられている
…好中球のsequestration and priming▶︎活性化 という病態
●診断基準(下記全て満たす)
・輸血開始6時間以内の急速発症、低酸素、バタフライシャドウ、volume overloadの所見なし、輸血前にALI/ARDSの所見無し
⇒これに加え、ARDSの危険因子がなければTRALI, あればpossible TRALI
…誤嚥、中毒、肺炎、溺水、ショック、敗血症、多発外傷、熱傷、膵炎、CABG後、overdose
③凝固系阻害
・輸血中にクエン酸⇒アシドーシス助長
・輸液(冷たい)⇒低体温
※凝固↓,低体温,アシドーシスは互いに助長し合う;参照 外傷死の3徴
・凝固因子の希釈
④アレルギー
・輸液製剤中の何らかの抗原による
⇒ほとんど原因不明
●Urticarial transfusion reaction
・蕁麻疹、痒みが出現するが、その他のアレルギー症状はでない状態
・最も高頻度。抗ヒスタミン薬にて対応。
●アナフィラキシー
・特にIgA欠損症の患者で抗IgA抗体を持つ人では起き得ることに注意
●Acute hemolytic transfusion reaction (AHTR)
・血液型の不一致による
・急速補液、利尿により治療する
■実際の対応
・呼吸困難が生じた場合,TRALI/ TACOとの鑑別が必要
⇒胸部Xp;アレルギーは変化なし,TRALI/ TACOは両側肺野浸潤影(+)
・TRALIはsupportive careが主体。TACOは心不全管理
⇒volumeを評価しつつ全身管理を行うという点で治療方針は同じ。
※TACOとTRALIとの鑑別
・TACOは心不全の症状
⇒心不全患者の場合,鑑別が難しい
a. 血圧:上昇:TACO,低下:TRALI
b. TACOは利尿剤が有効
c. TACOはEFが著明低下しうる
・輸血後発熱することはよく経験される。ほとんどはFebrile non-hemolytic transfusion reaction (FNHTR)であるが、感染症やTRALI、アレルギーをrule outすることが重要。FNHTRの場合は対症療法のみでよい。
●頻度
Urticarial transfusion reaction: 1-3%
FNHTR: 0.1-1%
TACO: <1%
TRALI: <0.01%
Anaphylaxis: 1/20000 - 1/50000
AHTR: 1/76000
参考 輸液副作用対応ガイド, UpToDate