★そんなに証拠はないが、鉄を補い、Hb7-8以下で輸血を考える。
◎よく経験するシチュエーションです。
■原因
①炎症
・心不全には炎症が関与しているとされる:TNFα、IL-6などの上昇を認める
②希釈
・あり得る。この場合予後悪い;但し希釈と解釈するのは、臨床的に難しい場合が多い
③鉄欠乏
・実は高頻度で、フェリチンは当てにならない;心不全と貧血の患者に骨髄穿刺を行った研究による
④ACE阻害薬
・Ac-SDKP(赤血球新生を阻害)がACEで分解される
⇒ACEi使用でAc-SDKPが蓄積
・使用後1年で比較した研究で、有意に貧血進行あった
⑤他
・心腎連関、右心不全による栄養失調、骨髄への血流低下など
■治療
●明らかな原因(鉄/葉酸/ビタミンB12欠乏、出血)があれば、それを治療する。但し大抵はそうでなく、以下はそういった場合。
①輸血
・あまりエビデンスないが、よく使われる。Hb<7-8に限って使うのと、Hb<10で使うので予後に変わりなかった。
②鉄剤
・静注(フェジン)で症状改善の効果がみられた
…エビデンスレベルは低い:基本的には鉄欠乏の証拠がある場合のみ
※しかし上述のように、フェリチンは以外と当てにならないかもしれない。
③エリスロポエチン↑
・やらない方が良い;静脈血栓症のリスクが上がるため
※一般には、心不全で、なんとかしたい場合、介入する要因の一つ、という解釈です。
参照 UpToDate