★理想ではCCr=GFR、Creは理想からちょっと遠く、近似式は患者群が違う。
■糸球体濾過率(GFR)とは
・機能しているネフロンの濾過率の和
…通常、1日180L程度の血漿が濾過される
=125ml/min;これを体表面積あたりとしたものがGFR
・GFRは体格で大きく異なるが、正常は120ml/min/1.73m2程度
※但し、GFR低下はネフロン喪失と完全な相関関係には無い
…生きているネフロンが頑張るから(濾過、再吸収率↑)
⇒GFRが低下しなくても、腎障害が進行している可能性ある
(尿蛋白、尿沈渣、血圧↑などで評価する)
■GFRの測定
・直接測定する事はできない。間接的に求める。
①物質Aにて、
Aのクリアランス = (尿中A濃度 ÷ 血漿A濃度) × 尿量 [ml/min]
②Aが理想的な場合
…完全に濾過され、尿細管で全く再吸収/分泌されず、排泄の間変化しない
Aのクリアランス = GFR
・イヌリンは理想的なAに最も近いが、高価でアッセイも難しい
+本当にちゃんとやろうとしたら、持続投与+尿カテーテル+頻回採血が必要
⇒現実的でない
■GFRの推定(eGFR)
●クレアチニン
・骨格筋 or 食事から血中へ
⇒一定の割合で放出され、尿細管で再吸収されず、排泄の間変化しない
…但し、尿中Creの10-40%が近位尿細管からの分泌による(この点理想的でない)
⇒基本的には排泄量は一定と考えて良い
①式より、
・Creクリアランス =(尿中Cre濃度 ÷ 血漿Cre濃度) × 尿量
…蓄尿でCCrを求める時の式
②式より、
・Creクリアランス = GFR
⇒CrCl(CCr)がGFRとして代用できる
※実際は、CCrはGFRより10-20%高くでる
また、
・GFR × 血漿Cre濃度 = Cre排泄量 = 一定
⇒1/Creが腎障害の進行に比例する
●近似式
・Cockcroft-Gault:肥満があまりいなかった頃の式。10-40%過大評価する。
・MDRD study:非糖尿病の白人の研究から。
⇒どちらも、日本人、健康に近い人は過大評価となる
・CKD-EPI:健康に近い人向けの式。
■eGFRの限界
●Cre
・Cre産生量がばらつく
…肉摂取や横紋筋融解で血中Cre↑
・尿細管からのCre分泌がばらつく
…初期は腎障害あっても分泌量増える
=Cre上昇とならない(Cre>1.5程度で分泌量が最大となる)
…日内変動がある
…疾患/薬剤で増減する;ネフローゼ、鎌形赤血球で増え、ST合剤やH2拮抗薬で減る、など
・アッセイが不完全
●近似式
・対象となった患者群以外の場合、信頼性は落ちる
参照 UpToDate