★いびきは睡眠時無呼吸(OSA)の症状の一つで,感度は高いが特異度は低い.
■いびきのメカニズム
●上気道狭窄
⇒空気の流れに対する抵抗↑
⇒空気流速↑
⇒粘膜が振動
…特に口蓋垂,軟口蓋がよく鳴る
⇒いびき(特に吸気時)
※但し,口蓋垂が大きい場合など,上気道狭窄がなくてもいびきは起きる
■上気道狭窄の原因
①筋への刺激↓
・睡眠
⇒セロトニン↓
⇒脳幹の運動ニューロン活動↓
⇒上気道を広げる筋(オトガイ舌筋など)のトーヌス↓
⇒上気道狭窄
※これは吸気時に増悪する
…吸気時は気道内が陰圧になるため
・アルコールなどは,この作用を増悪させる
②筋収縮のタイミングのずれ
・上気道を広げる筋は,吸気に関わる筋の収縮より前に収縮する必要がある
※吸気時は気道内が陰圧=狭くなる
⇒順序が逆になるとOSAとなる
③物理的閉塞
・仰臥位
⇒舌,軟口蓋の沈下
肺の容積↓(→尾側方向への気導牽引力の低下)
⇒上気道狭窄
・咽頭側壁の肥大,扁桃肥大
・鼻水
・肥満(最も重要;OSAと非常によく相関)
■いびきとOSA
・いびきはよくある:男性の44%
・OSAとは,上気道抵抗↑により「閉塞性無呼吸→呼吸低下」をともなった状態
⇒いびきはOSAの症状のひとつ
…感度80-90%,特異度50%以下
・OSAでなければ,心血管系イベントのリスクとならない
⇒いびきも治療対象となるが,
適応は,いびきにより他の人が眠れないのを防ぐため
参照 UpToDate