★だいたいわかれば、それでよい。
◎循環器内科医がだいたい見るポイントは決まっていて、簡単です。詳細には、かなり奥が深く、理解が必要です。
■だいたいみるポイント
1) EFが良いか
... 見た目で5%刻み、つまり50%, 55%, 60%,というくらいの評価。50%以下だと、低いと考える。
EFが下がる=心筋症。原因は虚血、不整脈、などいろいろ。
2) Asynergyがあるか
... 収縮の非対称性があるか。これは基本的には虚血を意味する。
⇒Asynergyがある場合、
・その壁は菲薄化/輝度上昇していないか:していれば陳旧性心筋梗塞
・所在はどこか:冠動脈の支配領域に合わせて考える
⇒支配領域に合わない場合、他のことも考える
3) chamberの拡大はないか
... (右房)、右室、左房、左室の大きさの評価。だいたい。
⇒右室が大きい:右心系に血液がうっ滞する病態
左房が大きい:だいたい心房細動。まれにMS
左室が大きい:心機能が悪い。だいたいlow EF
4) 逆流、狭窄があるか
... 逆流は見た目。狭窄は流速。
5) TRPGとIVC
... TRPG高かったりIVC拡張していると、右心系の血液うっ滞
■細かいこと
①流速を測る仕組み(これは大事)
・PW…一点の流速を測る
・CW…線上のどこでも,一番流速が早い所を測る
⇒基本的にPWを使う.流れが速い時(2m/s以上)はCWでないと測れない
⇒TRPGは流れが早いので、CWで測る。
②CO(cardiac output, 心拍出量)
・CO=SV(stroke volume, 一回拍出量)×HR
・SV=LVOT area(左室流出路断面積)×LVOT VTI(血流の時間速度積分値)
・LVOT area=LVOT(左室流出路直径)/2×3.14
・LVOT VTI:左室流出路にPWのサンプルポイントを設定
⇒波形をトレース(横軸時間,縦軸が血流速度)
⇒このグラフの面積=LVOT VTI
※あまりやらない
③推定右室圧
・推定右室圧≧40→肺高血圧と診断できる
…収縮期右室圧=肺動脈圧,と仮定している(よってPSでは適応外)
・推定右室圧=4×三尖弁逆流最大速度の2乗+右房圧
⇒逆流がないと判定できない!
⇒CWにし,基線からVpeakまでの距離=逆流最大速度
⇒右房圧は推定する:普通なら5~10,IVC虚脱なら0~5,怒張なら10~15
※IVC拡張とTRPGのあわせ技。細かいカットオフでなく、大体が大事。
④左室拡張能の評価:E/A
・左室流入血流は二峰性…E波,A波
⇒僧房弁弁尖先端にサンプルポイントを設定 (PW)
⇒EとAの速度の比を求める
※正常(E/A>1)→弛緩障害型(E/A<1)→偽正常型(E/A>1)→拘束型(E/A>2)と移行する
※心筋が硬いか、という指標。managementにはそれほど影響しない。
⑤心筋の動く速度:E'
・組織ドプラ
⇒サンプルポイントを心室中隔の僧房弁輪部に
⇒E'を測定
…これが小さいと左室弛緩能が低下している
※これも、あまりみない
参照 心エコーセミナー