放射線・検査

PCI中のslow flow;機序、予後、治療、予防法

★末梢がつまる事で生じ、有効な治療がなく予後が悪いため、予防法がいつくも考案されている。

■slow flow, no flowの定義
PCIでメインの狭窄が解除されたにもかかわらず、造影剤の流れが遅い事
 …具体的には、本幹狭窄やスパズムないがTIMI flow grade≦2の時
・糖尿病患者で多く見られ、予後が悪くなる

□TIMI flow grade




Grade 0 – 全く流れない

Grade 1 – 遠位血管床までは流れない

Grade 2 – 遠位血管床まで流れるが、やや遅れる

Grade 3 – 普通に流れる


■slow flowの機序

・PCIサイトより遠位の冠動脈枝閉塞;プラークか血栓
 ⇒PCI以前に認めていた遠位の枝が、slow flow時見られなくなることがある
微小血管障害
・心筋壊死か気絶心筋
・再還流障害;活性酸素、組織因子
・血管収縮;αアドレナリン↑、トロンボキサンA2、セロトニン


■slow flowの臨床への影響、予後

●TIMI≦2 vs TIMI 3
入院中死亡率: 15% vs 2%, 入院中心イベント: 20% vs 6% (PAMI試験)
遠隔期死亡率も、TIMI≦2で上昇する
※no flowだと更にリスクが上昇する
●TIMI myocardial perfusion grade (TMPG)は心筋組織への還流量の指標
⇒予後と密接に関わる

●治療法は確立されていない

⇒還流低下がある場合、以下を検討(確固としたエビデンスなし)
 ①血管収縮薬、強心薬、GPⅡb/Ⅲa阻害薬の全身投与
 ②ベラパミル、又はニトロプルシド冠注
 ③IABP

★slow flowは予後悪いため、それを予防する手段がいくつも考案されている
direct stenting、血栓吸引、遠位保護デバイス、レーザー(蒸散)、GPⅡb/Ⅲa阻害薬など
 

参照 UpToDate, WikiDoc 

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