整形外科・皮膚・形成

縫合糸の種類と使い分け、太さの解説

★吸収性+モノフィラメントに沢山種類あり。

◎何気なく使っている糸で、若手はだいたい教えてもらった通りに使うと思います。もしかして常識かもわかりませんが、それぞれの特徴をまとめてみました。

■糸の特徴3種類
①素材

●合成糸か、天然糸か。
天然糸は絹糸(シルク)だけです。

②吸収性

●吸収性か、非吸収性か。
皮膚、筋膜、腱、骨などには非吸収性糸を使います。
・吸収される糸は、時間とともに張力が弱くなります
⇒吸収されなければいけない所につかいます。

③編み糸か

●モノフィラメント(単一糸)か、ブレイド(編み糸)か。
編み糸の方がしなやかで、縫いやすく、強くしばれます
モノフィラメント感染に強く、糸を通す時に組織を傷つけにくいです。


■よく使われる糸のカテゴリー、特徴
●吸収性+モノフィラメント

PDS(polydioxanone)
最高の張力を持っています。5-6週間張力を保ちます。
モノフィラメントなので固いですが、感染にも強く、適応の幅が広いです。

マクソンPolytrimethylene carbonate
PDSを扱いやすくした改良版です。

モノクリル(poliglecaprone 25)
7日間張力を保ち、21日で完全に失います。顔の外傷などで形成外科でよく使われます。

●吸収性+ブレイド
バイクリル(polyglactin)

3-4週間張力を保ち、60-90日で吸収されます。
編み糸なので扱いやすいです。軟部組織に良い適応です。


●非吸収性+モノフィラメント

ナイロン

昔から使われている、張力の強い糸です。何回も結ばないと緩んでしまうのが難点。

プロリン(ポリプロピレン)
ナイロンとほぼ同様です。組織が腫脹しても耐えてくれます。

●非吸収性+ブレイド
絹糸(シルク)

これのみ天然由来です。扱いやすいですが、張力は非吸収性の中で最も弱いです。

■糸の規格
●USP(米国薬局方)規格に準じています。
・細い順に、以下の通りです。
12-0, 11-0, ...., 2-0, 0 (=1-0), 1, 2, ...., 10

・太さは、以下の通りです。
0   : 0.35〜0.399mm
2-0: 0.27〜0.349mm
3-0: 0.20〜0.269mm
4-0: 0.15〜0.199mm
5-0: 0.10〜0.149mm
6-0: 0.07〜0.099mm

参照 UpToDate, Ensinger Japan official blog

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