★紫外線による損傷をうけたDNAを修復できないため,多数の突然変異が蓄積するから.
色素性乾皮症が皮膚癌の原因であることは有名です。
その機序は、日光によるDNA損傷を修復する機構に異常があるからです。
これを噛み砕いて説明していきます。
色素性乾皮症はなぜ皮膚癌になるのか
●紫外線を浴びる
⇒DNAに作用
⇒隣り合う2つのチミン(A,C,T,GのT)が共有結合
⇒チミンが二量体化する
⇒DNAポリメラーゼによるDNA複製が,そこで阻害される
●正常であれば
⇒チミン二量体の部位を除去
※紫外線特異的エンドヌクレアーゼにより,その部位を挟むようにニック(切れ目)を入れ,除去する
⇒片割れのDNAから,DNAポリメラーゼにより復元
⇒DNAリガーゼによりくっつく
しかし、
●色素性乾皮症(XP)
⇒このヌクレオチド除去修復機構が欠損している
⇒細胞内に変異が蓄積
⇒癌化
■DNA修復機構
主に4種類の機序があります。
①メチル化を介したミスマッチ修復
・DNAには,1000ヌクレオチドに1つメチル化されているアデニン(A)がある
⇒新しく合成されたDNA鎖では,まだメチル化されていない
⇒メチル化されている親鎖が正しいと判断される
⇒親鎖と娘鎖がA-T,C-Gのようにマッチしてない(ミスマッチ)
⇒親鎖のメチル化を指標とし,Mut蛋白によりそこが分離される
⇒DNAポリメラーゼにより埋められ,DNAリガーゼによりくっつく
②紫外線損傷による修復
・上記;チミン二量体を,紫外線特異的エンドヌクレアーゼにより除去する
③塩基除去修復
・CからUへ,自然と脱アミノ化し変化する
⇒ウラシル-N-グルコシラーゼによりUが除去される
⇒この欠損部位はAP部位(アピリミジン部位)といわれる
⇒特異的APエンドヌクレアーゼがこれを識別
⇒DNAポリメラーゼ・リガーゼ
④二重鎖切断の修復
・非相同末端結合修復:切れ端が他のどこかにくっつく
・相同組み換え修復:相同な他の遺伝子を用いて復元する
Holliday構造形成など,特異なステップをふむ.
参照 リッピンコット生化学