内分泌・糖尿病 整形外科・皮膚・形成

高齢、閉経、ステロイドでなぜ骨粗鬆症となるか、男性はなぜ骨粗鬆症となりにくいか

★骨芽細胞↓、破骨細胞↑。

■骨粗鬆症の機序
骨密度の低下、骨質の劣化による
①骨密度
・思春期に高まる(→骨量頂値);破骨細胞(骨吸収)<骨芽細胞(骨形成)
⇒成人以降減っていく;骨吸収>骨形成
②骨質
骨リモデリング(新陳代謝機構)、酸化/糖化の程度、ビタミンD/K、コラーゲン含有量、石灰化度で規定される
骨リモデリング亢進
 ⇒骨基質のライフスパン↓
 ⇒十分に石灰化されない
酸化ストレス(活性酸素)↑
⇒骨芽細胞のアポトーシス↑
⇒骨形成↓

●以上より、
皮質骨:骨の菲薄化、骨髄側の海綿骨化
 …加齢による骨粗鬆症の主体;ゆっくり起きる
海綿骨:骨梁幅/数の減少
 …エストロゲン低下による骨粗鬆症の主体;急激に起きる


■原因と機序
①加齢

骨芽細胞機能↓
骨細胞数↓:骨リモデリング↑、微小障害の修復機構↓
 ⇒骨中の血管、水分↓
 ⇒骨結晶化度↓、脆弱性↑
カルシウム吸収能↓ ⇒骨密度↓
・壮年期以降コラーゲン含有量↓、コラーゲン分子間に老化型架橋↑
 …架橋は終末糖化産物(AGE)による
酸化ストレス(活性酸素)↑

②閉経

エストロゲンの機能
破骨細胞の分化と成熟を直接抑制、破骨細胞の活性をRANKL↓を介し抑制
 骨細胞、破骨細胞のアポトーシスを抑制
⇒閉経でこの作用が急になくなる

③ステロイド

・骨芽細胞産生↓
・骨芽細胞、骨細胞アポトーシス↑
・VEGF↓:骨芽細胞、骨細胞が産生
⇒骨の水分量↓
⇒壊れやすくなる
・破骨細胞の寿命↑
・IGF↑、Wntシグナル活性化も関わっているかも

④ビタミンD, K不足

・オステオカルシン量↓
 ⇒基質石灰化↓、コラーゲン繊維/架橋形成変化;骨質の異常


■男性が骨粗鬆症になりにくい理由

①思春期によく運動する
⇒骨量頂値が高い
②閉経によるエストロゲンの急速な低下がない

よって、男性の場合高齢こそが骨粗鬆症のリスク
80歳以上では注意

参照 UpToDate、骨粗鬆症ガイドライン 

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