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静脈血はどうやって流れているか;呼吸と静脈還流の関係、合理的な採血方法

★四肢の筋収縮、呼吸と動脈により押し出される。

◎動脈は心臓のポンプで血液が押し出されて流れます。動脈から組織へ血液は流れ、栄養分を送った後、血液は静脈へ行きます。この血液はどのように流れるのでしょう?

①筋肉の収縮
・静脈の血流は遅いので、四肢の末梢に溜まってしまいます。だから立ち仕事を長くしていると、足がむくんできます。
・この血液を押し戻そうとするのが、実は筋肉です。手足の筋肉が収縮すると、深部静脈系(身体の中の方にある静脈)が筋肉に押しつぶされ、血液が表在静脈(身体の表面にある静脈)へ流れます
⇒四肢の色々な筋肉の場所でこれが起こり、静脈が流れます。

※しかし、寝ている間も全身の循環は保たれているので、これだけではありません。

②呼吸
!呼吸で静脈血がどう変化するかは非常に大事で、かつ勘違いしている方が多いところです。

息を吸う(吸気)と、以下の2つの変化が起きます
1) 胸郭が広がります
…大事なことは、胸郭が広がる事で肺に空気が入るということです。そういうメカニズムなのです。肺を広げて胸郭が押し広がる訳ではありません。
胸腔圧↓
⇒上大静脈と下大静脈が拡張します
 …圧が下がる=周りから圧迫されない、ということ。イメージはCoolishを飲む時(出口が静脈)。
心臓へ流れます


2) 横隔膜が下がります
⇒腹腔内圧(おなかの中の圧力)が上がります
 …圧力が腹腔>胸腔となるということ
⇒腹腔内の下大静脈が圧迫されます
血液が、腹腔内から胸腔内の下大静脈へ押し出されます

※上・下大静脈から心臓へ血液が流れることで、末梢の血液も引っ張られます
 

③動脈

動脈血がどんどん後押しすることでも、静脈血は押し出されます。
…健常な方は、心臓へ還流する量と拍出する量は同じです。これは当然なのですが、左心室による拍出が激しいイメージなので、意外の方もいると思います。

動脈の影響は、採血する時にわかります。
駆血すると、静脈が浮いてきますね?これは動脈により静脈血が押し出されますが、駆血で静脈だけがつぶれる(動脈はつぶれない)ので、静脈が大きくなるのです。
※ちなみにグッパーしてもらうのは、①のメカニズムを利用しています。つまり、深部から表在静脈への還流を促しています。
ペンペンはたくのも同様です。でもメカニズムを考えればグッパーしてもらう方がbetterだと思っています。
※採血しにくいときは、末梢から中枢側(狙う場所)へマッサージして、静脈血を中枢側に集めることが、機序を考えると合理的です。

>採血法など基本的な手技の方法は、この本が1番です。研修医だけでなく、コメディカルの方も。

ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson


④静脈弁
・逆流を防止する機能があります。

以上①〜④のメカニズムで、静脈血は流れます。

参照 Guyton生理学、静脈学

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