麻酔・外科・胸部外科

胸部/腹部/腸骨/膝窩動脈瘤の具体的な管理、治療

★動脈瘤は破裂を疑えば緊急手術、適応があれば選択的手術、なければ外来フォロー。

■胸部大動脈瘤(TAA)
・以下の場合、選択的手術を
①有症候性(少ない)
拡張後期径が、上行で50-60mm以上、下行で60-70mmm以上
 ※女性の場合、正常大動脈径の2倍以上で選択的手術を検討手術
 ※上行の場合、大動脈径index: 大動脈径÷体表面積<2.75 の内に手術を
③50mm以下の動脈瘤で、10mm/1年で拡大
④解離あり
⑤大動脈弁手術を施行する場合、45mm以上のとき

●手術適応がない場合、β遮断薬を導入し、sBP105-120mmHgを目標に降圧する
…左室収縮↓、share stress↓により進行を予防する
⇒最初は6ヶ月、以降1年おきにCTかMRIでフォローする


■腹部大動脈瘤(AAA)

①破裂、有症候性
 ⇒緊急手術
②0.5mm/6ヶ月、10mm/1年で拡大
 ⇒選択的手術
無症候性で55mm以上
 ⇒選択的手術
※無症候性で60mm以上の場合、入院、可及的に手術とする
④55mm以下でも、以下の場合は個々に手術を検討
 …女性(破裂率高い。50mm以上で適応)
  若年(いつかは手術する可能性が高い)
  腸骨動脈瘤や有症候性のPADを合併(一緒に治療できるから)

●以上でない場合、6-12ヶ月おきにCTフォローとする。
●全ての場合において、心血管系リスクに対する介入を開始。
禁煙、適度な運動が進行予防に最もエビデンス高い。
 薬剤は、どれも進行予防のエビデンス低い
 …AAAは冠動脈疾患との合併多く、その意味でスタチンとアスピリン投与は良いかも


■腸骨動脈瘤(FAA)

①破裂
 ⇒緊急手術
②有症候性
 ⇒破裂のリスクが高いため、準緊急で手術
③7mm/6ヶ月、もしくは10mm/1年で拡大
 ⇒エビデンスは乏しいが、手術適応としてよい
無症候性で30~35mm以上
 ⇒手術を検討。伝統的に30mmだったが、最近は35mmまで待てるとされる
手術適応の腹部大動脈瘤を合併し、25mm以上

●以上でない場合、、6-12ヶ月おきにCTフォローとする
●全ての場合、心血管系リスクに対する介入を開始。
 

■膝窩動脈瘤
・末梢動脈瘤で最も頻度が高い
①有症候性、遠位の虚血症状のある場合
 ⇒緊急手術。抗凝固、カテーテルからの血栓溶解も適応
20mm以上
 ⇒手術適応;30-40%で急性虚血を起こすリスクあるため
瘤内に血栓がある場合
 ⇒進行するリスク高く、小さくても手術を検討
 …抗血栓療法で保存的にみれるかはcontroversial

●それ以外だが有症候性の場合、運動療法+シロスタゾール投与を開始。
 6-12ヶ月おきにフォロー。
●閉鎖した動脈瘤は放置してよい

参照 UpToDate、日循ガイドライン

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