薬剤

クロピドグレル耐性の検査、機序、対応

★機序は遺伝子多形が最も重要、ただスクリーニングは推奨されない。

■定義
・クロピドグレル(プラビックス)耐性、無効
⇒ADPによる血液凝集が、非治療時と比較して10%以下しかない事

抗血小板薬内服時の血小板反応性亢進HPR;heightened platelet reactivity)
⇒治療時にも、ADPに対してP2Y12受容体の反応があること
 (P2Y12受容体はクロピドグレルのターゲット)
⇒アッセイがいくつか開発されている
…治療を受けている患者の16-50%が該当する;但しアッセイのカットオフ値による

・クロピドグレル治療失敗
⇒HPRの患者に、クロピドグレルによる治療中に血栓性/虚血イベントが起こること

■クロピドグレル治療失敗の原因、機序
クロピドグレル代謝の多様性poor metabolizer
・クロピドグレルはプロドラッグ;代謝されて活性体となる
⇒15%:シトクロムP450(CYP)により活性代謝物(R-130964)
 …CYP2C19が最も重要な酵素
 85%:ヒト-カルボキシルエラスターゼ-1により不活性化カルボン酸代謝物
・よって、CYP2C19遺伝子多形(loss of function)が、薬剤耐性にクリティカル
⇒CYP2C19*2:エキソン5のG681A変異により、機能消失した蛋白となる
 CYP2C19*3:エキソン4のG636A変異により、停止コドンが早くなる
※特にアジア人にpoor metabolizerが多い(20%)
 ⇒ただし、poor metabolizarでも薬が効く人もいる

他の薬剤との相互作用
・CYP活性を阻害する薬剤により影響される(理論的には)
但し、クロピドグレルを選択しないほうが良い、とはっきり示された薬剤はない
 (中では、PPIがcontroversial)
※今の所、抗血小板薬2剤内服の場合PPIの併用が推奨されているが、これもcontroversial

③糖尿病
DM患者はHPRである
⇒増量もしくは薬剤併用して対応する必要があるかも(一定した見解はでていない)

④服薬コンプライアンスが悪い

喫煙していない
・禁煙患者はクロピドグレルの効果が少ない
+喫煙患者が禁煙しても、効果が少なくなる
(MI後死亡率:喫煙では25%減 vs 禁煙では8%減)

■対応
・ルーチンでクロピドグレル耐性をスクリーニングすることは推奨されない
・血栓によるMIを繰り返す人にスクリーニングすることの是非は不明
どんな状況でも、クロピドグレルが良くなさそうなら、他の薬剤へ変えるべき
そもそもプラスグレル(エフィエント)の方が良い:値段は高いけど

参照 UpToDate

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