★診断基準は研究用.
・臨床研究で感度,特異度を出すために作られたもの.
⇒実際に臨床でも用いられるが,clear cutでない症例も多い
⇒「○○っぽい」で診断とし,治療を開始する
⇒治療(投与量など)は異なるが,反応性を見て適宜変化させる
ex) 高安病と側頭動脈炎の鑑別が難しい例
⇒患者の年齢と性別で診断してしまうこともある
※この記事はANCA関連血管炎についてのみ
■定義
・ANCA関連血管炎は,pauch-immune(免疫沈着を認めない)のが原則.
①多発血管炎性肉芽腫症(GPA:Wegener肉芽腫とはいわれない)
通常,上部と下部の気道を障害する壊死性肉芽腫性炎症で,
主に小型血管から中型血管を障害する壊死性血管炎.
壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる.
②好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA:Churg-Strauss症候群とはいわれない)
好酸球に富む壊死性肉芽腫性炎症で,
しばしば気道,主に小型血管から中型血管を傷害し,
喘息と好酸球増多症を伴う.
ANCAは糸球体腎炎がある時に高頻度である.
③顕微鏡的多発血管炎(MPA)
小型動脈や中型動脈を侵す壊死性血管炎.
壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる.
肺毛細血管炎みしばしば生じる.
肉芽腫性炎症は生じない.
■ANCAの意義
①多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
・感度90%以上
⇒病変が限局したGPAでは,感度60%程度となる
・ANCA陽性の内
⇒PR3-ANCA(+)が80-90%
⇒残りがMPO-ANCA
②好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
・感度50%
(MPO-ANCAの特異度は73%)
⇒ANCA陽性・陰性例でPhenotypeが違う可能性
…陽性:糸球体腎炎,肺胞出血,神経障害が多い
陰性:心臓,肺障害(肺胞出血以外)が多い
③顕微鏡的多発血管炎(MPA)
・感度70%
・MPO-ANCAが優位
⇒PR3-ANCA陽性もある
※GPA,MPAの鑑別は重要
⇒寛解後,GPAの方が再発しやすいため
⇒両者の鑑別に,ANCAの種類のみで決められない
(定義が重要)
※結節性多発動脈炎(PAN):中型血管炎 との鑑別
⇒ANCAは有用
⇒PANはANCA陰性のため
④その他の疾患
・抗GBM抗体病:10-40%でANCA(+)
…MPO-ANCAが多い
・薬剤誘発性ANCA関連血管炎
…特に,プロピルチオウラシル,ヒドララジン,ミノサイクリン
・血管炎以外
⇒膠原病,炎症性腸疾患,嚢胞性線維症,コカインなど
参照 日内誌,UpToDate