★偽膜性腸炎は内視鏡診断。
■Clostridium difficile(CD)感染症
・CDは芽胞をもつ嫌気性菌で、経口感染する
⇒発熱のみ~偽膜性腸炎まで、様々な病態を示す
・抗菌薬関連下痢症(Antibiotics-Associated Diarrhea:AAD)の一種
●CD感染症の病態
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疫学 |
特徴 |
無症候性保菌者 |
健常者の5%、 |
感染者⇒保菌者 |
下痢症のみ |
抗菌薬関連下痢症の20% |
抗菌薬中止により改善 |
下痢症+発熱・炎症反応 |
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ICU発熱のよくある原因 |
偽膜性腸炎 |
CD関連下痢症の10% |
腹痛あり |
劇症 |
CD関連下痢症の3% |
腸管穿孔・中毒性巨大結腸症 |
※38.5℃以上の発熱はCD感染症の15%で認め、腸炎の合併を示唆する
典型的には、抗菌薬開始後5-10日で症状出現する
■CD感染症の病態・診断
●流れ
抗菌薬投与中に下痢を認める症例において
・toxin(+):positive result=CD感染症
・toxin(-), antigen(+):intermediate result⇒PCR、陽性ならpositive、陰性ならnegative
・toxin(-), antigen(-):negative result=CD感染症でない
・「トキシンの存在→CD感染症」となる
Toxin A:好中球遊走因子
Toxin B:細胞毒
⇒Toxin Bの存在証明(Cytotoxin assay)が診断のスタンダードだが、日本では検査できない
⇒Toxin Aを酵素免疫法で診断している
…感度75%、特異度99%
※但しToxin Bのみ陽性のCDが2~3%あるといわれる
また、アッセイによっては感度が非常に低い
・CD抗原の証明(ラテックス凝集反応):グルタミン酸脱水素酵素(GDH)に対する試薬
⇒簡便だが、非特異的反応多く、毒素の有無とは無関係
⇒感度は高いため、スクリーニングとしては有用
・PCR;toxin Aかtoxin B遺伝子を検出
⇒感度も特異度も高い
※便培養
・CDの毒素産生株は30%程度
⇒単純培養で陽性でも診断とならない
⇒意義は感受性出すこと
・選択的な嫌気性培養+toxin検出は最も感度の高い検査
⇒しかし手間と時間がかかるため、疫学調査用の検査
参照 UpToDate、重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省)
更新 2015/8/3