感染

感染性心内膜炎;Duke criteriaや経食道心エコーはどれくらい信頼できるか

★Dukeは感度が高い。

■Duke criteriaについての研究

①405例の内69例が病理的にIE
・Dukeでdefiniteだったものが80%
・IEの内、Dukeでrejectedだったものはない
②63例の内10例がIE
・全てDukeでdifiniteだった
③115例の内27例がIE
・22例がDukeでdefinite
⇒Duke基準でrejectedなら否定的(感度高い)
 …一方特異度はそこまで高くない
⇒臨床的によく遭遇するシチュエーション
Dukeでpossibleの例、心臓疾患があり血液培養陽性例をIEとして扱うか


■心エコー

●TTE
・疣贅検出の感度79%、特異度95-100%
●TEE
・疣贅検出の感度92-94%、特異度95-100%
⇒人工弁の場合、検出感度は落ちる
※エコーで疣贅を認めなければほぼないということだが、小さい場合など偽陰性もありうる
 ⇒再検が重要;適正なタイミングは検証されていない
つまりTEE陰性であった症例の場合、一定の考え方はない!
 (総合的に考える)

■血液培養
●典型的な菌で無い場合

A-C群溶連菌IEにほとんど関連しない
・G群溶連菌;IEの可能性ある
・Enterococcusの中でもfaecalisはIEに関連する
コンタミネーションと区別難しいPropionibacterium acnes, Corynebacterium spp, Bacillus spp, CNS
⇒培養繰り返すことが重要
⇒このために、大項目に培養陽性の基準ある

●培養陰性のIE
・IEの2-7%
・抗菌薬投与後(特にStreptococcus)、手技の問題はよくある
①感染症:Q熱、バルトネラ、Whipple病、真菌、フィネゴルディア
②非感染症:衰弱性、SLE、RA、Bechet病


■(おまけ)正確なDuke criteria

●表1



definite

病理基準

①疣贅(心内か塞栓)、心内膿瘍に培養で菌が検出

②疣贅(心内か塞栓)、心内膿瘍の病理で心内膜炎の所見

臨床基準

2大項目か、②1+3小項目か、③5小項目

possible

1+1小項目か、②3小項目

rejected

①他の確定した診断

②抗菌薬開始後4日以内の心内膜炎再燃、

③抗菌薬開始後4日以内で病理的にIEが証明されない

④上の基準に当てはまらない


●表2



大項目

1.培養陽性

2回以上の血液培養で、以下の典型的な病原菌

Strept.
viridans, gallolyticus (bovis)

HACEK;
Haemophilus, Aggregatibacter, Cardiobacterium hominis, Eikenella spp,
Kingella kingae
 ※これらは、培養陽性となるまで時間かかる 

Staph. aureusかEnterococcus;心臓の他に感染源が特定されない場合

②血液培養が12時間おいて2 回以上陽性 or 3回以上(最初と最後は1時間以上あけて)の陽性

Coxiella
burnetti陽性 or antiphaseIgG >1800

2.心内膜炎

①エコー所見

・振動性の腫瘤;弁か弁支持組織の上、逆流ジェットの中、人工物の上

・膿瘍

・人工弁の新たな部分離解

②新たな弁逆流

小項目

①心臓の基礎疾患、静注薬物使用

38℃の熱

③血管現象;動脈塞栓,肺梗塞,感染性動脈瘤,頭蓋内出血,眼球結膜出血,Janeway発疹

④免疫現象;糸球体腎炎,Osler結節,Roth斑,リウマチ因子

⑤血液培養陽性だが大基準を満たさない or 血清学的な活動性の炎症

 

 

参照 UpToDate

-感染