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髄膜炎-入り道は?髄膜刺激症状の原理と有用性は?

★鼻から.結構使える.

■髄膜炎の病態
鼻咽腔上皮に付着しコロニー形成
⇒①膜結合性の小胞
  ⇒上皮細胞を通過
  ⇒血管内腔へ
⇒②tight junctionを分離
  ⇒血管内腔へ
・血流内では,多糖類被膜により貪食を回避
脈絡叢上皮に感染
⇒髄液腔へ
 ※肺炎球菌は脳の毛細血管内皮に付着
 ⇒細胞を通過 or 間隙を通り髄液腔へ

■髄膜刺激症状
・くも膜下腔の炎症
⇒セロトニン・キニン分泌
くも膜下腔の血管周囲にある痛覚受容性神経が刺激
疼痛の受容閾値が低下している
⇒この際の疼痛に対する防御反応=髄膜刺激症状

①項部硬直・Brudzinski徴候
・頸部前屈
⇒脊髄が移動;延髄で4mm上昇,腰椎レベルで1cm上昇
⇒神経根圧迫
⇒疼痛
※前屈により髄膜に進展刺激が加わるので,他の動きでは生じない!
②Kernig徴候
・大腿屈曲により,脊髄を移動させる

●有用性
★まれだけど,認められれば診断的価値あり
・Kernig,Brudzinski:感度5%,特異度95%
・項部硬直:感度30%,特異度68%
これらは「髄膜炎が疑われ腰椎穿刺をした例」において,「CSFで白血球≧6個/µlを髄膜炎」と定義した場合
 (これが重要.緊急性がある髄膜炎に対する感度・特異度ではない)
⇒より重症では有用性が高まる

実際の臨床では,頭痛と発熱があり,
 ①generalがかなり悪い場合か
 ②髄膜刺激徴候が認められる場合か
 ③意識混濁・障害がある場合に
 細菌性髄膜炎を考える!
⇒無菌性髄膜炎は経過観察しかない.ヘルペス性髄膜炎には気を付ける

・jolt accentuation:感度97%,特異度60%
※髄液細胞増加症に対して

 
参照 UpToDate,ハリソン,サパイラ,細菌性髄膜炎の診療ガイドライン - 日本神経感染症学会

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