★ATNは腎虚血(+腎毒性)で生じる。
■急性腎障害(AKI)の定義;AKIN分類
・48時間以内でCreが0.3mg/dl以上 or 50%以上の上昇,
若しくは尿量が6時間以上にわたり0.5ml/kg/h以下に低下すること
●重症度
Stage 1:Cre 0.3以上 or 50%以上の上昇/ 尿量 0.5ml/kg/h以下が6時間以上
Stage 2:Cre 100%以上の上昇/ 尿量 0.5ml/kg/h以下が12時間以上
Stage 3:Cre 200%以上の上昇/ 尿量 0.3ml/kg/h以下が12時間以上
■分類、原因
●腎性
…糸球体:糸球体腎炎
動脈:血管炎、 アテローム塞栓
静脈:心不全(心腎連関)
尿細管:ATN、間質性腎炎
●腎前性
…循環血漿量↓
心不全(心腎連関)
肝腎症候群
両側腎動脈狭窄
NSAIDs使用(特定の状況下、下記)
※腎に入った後の血管なら腎性,腎動脈まで腎前性
※ATNと腎前性腎障害で75%
■重要な疾患と病態
●腎性
・ATN(急性尿細管壊死)
…段階的な病態:内皮/上皮細胞損傷、尿細管閉塞、免疫/炎症反応
⇒簡単に言えば、多くは遷延した腎虚血による尿細管障害
原因:著明な循環血漿量低下(手術、敗血症、膵炎)
循環血漿量低下+腎毒性(アミノグリコシド、ヨード系造影剤)
※背景に腎の自己調節能↓がある
…慢性腎臓病、肝硬変、高血圧、薬剤(ACEi, ARB, NSAIDs)
●腎前性
・肝腎症候群
…肝硬変
⇒全身の血管拡張による血圧↓
⇒アンギオテンシンⅡ・ノルアドレナリン↑
⇒腎虚血進行
※肝疾患による尿酸産生低下・筋肉量低下によるCre↓
⇒進行がマスクされる
⇒AKIの臨床像をとった時,病態進行の末期である
・心不全・肝硬変・慢性腎不全・体液量減少時のNSAIDs使用
…アンギオテンシンⅡ,ノルアドレナリン産生して血管収縮
⇒PG産生することで、過剰な腎血管収縮を防いでいる
⇒NSAIDsでPG阻害すると、著明な腎血管収縮
●腎性、あるいは腎前性
・心腎連関
①心不全による拍出量↓
⇒腎血流量↓:腎前性の要素
②心不全による静脈鬱滞
⇒腎臓の静脈鬱滞
⇒尿を生成できない(押し出せない):腎性の要素
※この場合、利尿薬(尿細管の再吸収阻害)が効きにくい!
⇒鬱滞解除のために静脈系からの直接的な除水が必要
③一方、腎不全により心不全増悪を来す病態
…右心系拡大⇒右室拡大⇒左室容積↓⇒心拍出量↓
腎血流↓⇒RAAS↑、交感神経↑、ADH↑⇒色んなmediator介し心不全増悪
参照 UpToDate
★国立国際医療センターのサイトが非常に参考になります