★アンモニア・芳香アミノ酸の上昇を抑える!
肝性脳症が悪化するとルーチンでアミノ酸製剤を投与する場合が多いと思います。
もしくはバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術Balloon-Occluded Retrograde Transvenous Obliteration (BRTO)という手技があり、これも有効です。
それぞれがなぜ効くか、機序を解説します。
肝性脳症にアミノ酸製剤(アミノレバンなど)が効く理由
●エネルギーの原料は、、、
・肝は芳香アミノ酸
・筋は分枝鎖アミノ酸
●肝硬変の病態
・類洞が線維化
⇒アミノ酸が肝細胞内に取り込まれる機会↓
肝でのアミノ酸を原料にしたエネルギー産生↓
・代わりに筋ががんばる
⇒分枝鎖アミノ酸↓,芳香アミノ酸↑
蛋白摂取
⇒分解過程でアンモニアを生じる
⇒肝性脳症悪化
ここで、
蛋白制限,アミノ酸製剤(分枝鎖アミノ酸=BCAA)を補給
⇒脳症改善
★BCAA補給
⇒筋細胞に取り込まれ,TCA回路を経てグルタミン酸となる
⇒グルタミン酸はアンモニアと結合,グルタミンとなる
⇒アンモニア濃度↓
BCAAのNH3基は,代謝過程でグルタミン酸となる(αケトグルタル酸→グルタミン酸)
肝性脳症にBRTOが効く理由
肝硬変の病態:
⇒門脈圧亢進
⇒肝ではなく,側副血行路を介して食道や胃へ静脈血が行く
⇒静脈瘤
・BRTO:静脈瘤の出口を塞ぎ,硬化剤を入れ,静脈瘤をつぶす
⇒側副血行路でなく,肝に静脈血(門脈)がいく
⇒肝細胞の機能は落ちているものの,より多くの血流が肝を通ることになる
⇒アンモニアがより多く代謝される
⇒脳症改善
参照 リッピンコット生化学