★正常ヘモグロビンはHbA/ F/ A2、他たくさんの異常ヘモグロビン。
■正常ヘモグロビン
●HbA
…α鎖2本+β鎖2本:97%
●HbF
…α鎖2本+γ鎖2本:1%(胎児ヘモグロビン)
●HbA2
…α鎖2本+δ鎖2本:2-3%
⇒βサラセミア(β鎖を作れない)で増加、酸素運搬の主役となる
※サブユニットの組み合わせの問題。
■異常ヘモグロビン
●HbS(鎌型赤血球):α2βS2
…β鎖の変異
⇒脱酸素化されると固く形が変化し、塞栓など起こす
●HbE:α2βE2
…β鎖遺伝子エクソン1の変異
⇒東南アジアで頻繁にみられる種類で、やや酸化ストレスに弱い
⇒基本的に問題とならないが、サラセミアを合併すると重症化する
●HbC:α2βC2
…β鎖の変異
⇒六角形の水晶体を形成する+赤血球に脱水をおこし、MHCHが大きくなる
⇒溶血が起こるが、それほど貧血にならない
●HbD:α2βD2
…β鎖遺伝子コドン121でグルタミン酸がグルタミンへの変異
⇒pHアルカリ性の下で、HbSと同じ特徴
●HbH:β4
…β鎖4本;α鎖が産生されない
⇒酸素結合能が強いため、組織低酸素になる
(β鎖が機能し始めてから症状発現するため、胎児水腫とならない)
・背景の疾患のサイン
…先天的にはαサラセミア、後天的にはMDS、血液腫瘍
●Hb Barts:γ4
…γ鎖4本;HbHと病的意義は似ている
⇒が、胎児期に組織低酸素が起きるため、胎児水腫となる
●HbM(メトヘモグロビン)
…ヘムのチロシンがヒスチジンへ置換
⇒鉄-フェノール複合体となり、Fe3+で維持される
⇒先天性のメトヘモグロビン血症であり、有効な治療法はない
●不安定ヘモグロビン
・Hb Zurich, Hb Koln
…不安定であり、血管内溶血する
⇒正色素性貧血+Heinz体が認められる
●酸素親和性の強いヘモグロビン
・Hb Chesapeake, Hb Creteなど
…赤血球造血↑
⇒瀉血してよいが、しなくて問題ない
●酸素親和性の弱いヘモグロビン
・Hb Kansas, Hb Beth Israelなど
…チアノーゼを呈するが、組織への酸素運搬は適切
⇒治療の必要なし
※ヘテロかホモかの組み合わせで、HbSC、HbCC等となる
参照 UpToDate