★抗菌薬と同じく,広域⇒de-escalationする!
概略
・カンジダ⇒だいたいアゾール系
⇒好中球減少時など初期治療の失敗許されない場合,AMPHかMCFZ・CPFG
・アスペルギルス⇒アムホテリシンor アゾール系
⇒侵襲性肺アスペルギルス症では,AMPHかVRCZ
・クリプトコッカス⇒アムホテリシン± アゾール系
・ニューモシスチス⇒ST合剤
※エルゴステロールない⇒アムホ,アゾール×
エキノカンディンは栄養体のみ有効⇒予防にしかならない
・その他(トリコスポロン,ムコール,フサリウム)⇒アムホテリシン
■一般的なスペクトラム
|
FLCZ |
ITCZ |
VRCZ |
AMPH-B |
MCFZ,CPFG |
Candida. Albicans |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
non-albicans candida sp. |
△ |
○ |
◎ |
◎ |
◎ |
Cryptococcus sp. |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
× |
Aspergillus sp. |
× |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
その他 |
○* |
○* |
○** |
○ |
× |
○*:トリコスポロンのみ
○**:トリコスポロン,フサリウムのみ
■アゾール系
機序:真菌の酵素阻害
⇒エルゴステロール(真菌の細胞膜構成要素)産生↓
①ケトコナゾール(ニゾラール)
特徴
・内服:胃酸が十分にないと吸収されない=PPIと併用できない
・副作用が多い⇒今は外用薬のみ
②フルコナゾール(ジフルカン) FLCZ
特徴
・副作用少なく,普通に吸収される
適応菌
・カンジダ:C.albicans(80%)にほとんど効く
※C.glabrata,C.kruseiには効かない!
・クリプトコッカスに効くが,多くはアムホテリシンBの補助として使われる
※アスペルギルスには効かない
③イトラコナゾール(イトリゾール) ITCZ
特徴
・①の改良版;PPIダメ⇒副作用は軽減した
・眼や中枢神経に移行しにくい⇒カンジダ眼内炎,髄膜炎に使いにくい
・脂溶性+角質好む
適応菌
・白癬菌:特に爪白癬
・ヒストプラズマ,ブラストミセスなど
・アスペルギルスに効くが,④が優先される
④ボリコナゾール(ブイフェンド) VRCZ
特徴
・②の改良版
・副作用:眼に可逆性の毒性あり
適応菌
・アスペルギルスに効く!
⇒侵襲性アスペルギルス症に使う(アムホテリシンBと同等の効果)
■アムホテリシンB AMPH-B
機序
・真菌のエルゴステロールに結合⇒細胞膜透過性↑
・アムホテリシンBの自己酸化⇒フリーラジカル産生
特徴
・重症真菌感染症の第一選択になることが多い
・副作用多い:特に腎毒性
⇒今はリポソーム製剤(L-AMB)となり,副作用減った
…①血中でL-AMBが崩壊しない(10%しか)
⇒毒性をもつ,フリーのAMPH-Bが少ない
②粒子径が小さい
⇒細網内皮系に捕捉されづらい+炎症部位は血管透過性亢進により,血管外に漏出する
⇒感染巣特異的に効果を発揮する
適応菌
・ほとんど効く
・効かない⇒Candida.lusitaniae(アゾール系効く), Aspergillus terreus(ボリコナゾール),
スケドスポリウム(ボリコナゾール)
■キャンディン系
①ミカファンギン(ファンガード) MCFG
②カスポファンギン(カンサイダス) CPFG
機序
・細胞壁のβ-Dグルカン合成酵素を阻害
※エルゴステロールを介さない=上記2種と機序異なる!
特徴
・分子量大きい⇒点滴のみ
・副作用少ない
適応菌
・全てのカンジダ⇒アゾールが効かない時or C.kruseiに使う
※眼への移行性悪く,カンジダ眼内炎には効果なし
・アスペルギルス⇒アムホテリシンB,ボリコナゾールの次に使える
※他には効果なし⇒クリプトコッカス,接合菌,トリコスポロン
参照 抗菌薬の考え方,使い方,日内誌
2013/12/15更新