★発生⇒維持が必要.
※代謝性アルカローシス:HCO3-の増加
発生
1.H+の喪失
・CO2 + H2O ↔ H+ + HCO3- より,緩衝される
⇒失ったH+と等モル数のHCO3-が産生される
①嘔吐,経鼻胃管
・「胃酸→十二指腸に到達→膵からHCO3-分泌され中和される」
⇒これが阻害
⇒適切なHCO3-分泌なしにH+が喪失される
②ループ,サイアザイド利尿薬
・近位尿細管でのNa再吸収阻害
⇒尿管腔にNa過剰
⇒アルドステロン↑により集合管でNa再吸収
⇒尿管腔が陰性
⇒主にH+ATPase(尿管腔側にある)により細胞から尿管腔へH+放出
③低K血症
⇒細胞内へH+移行する
2.直接的なHCO3-の増加
①重炭酸の投与
②有機陰イオンの投与:クエン酸など
⇒代謝されてHCO3-となる
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/28748661.html
3.体液減少
・HCO3-をあまり含まない液の喪失
⇒HCO3-が濃縮される
①浮腫患者への利尿薬:1.②に追加して助長される
②嚢胞性線維症での発汗喪失など
維持
・過剰なHCO3-は量に応じて尿中へ排泄される
⇒HCO3-排泄を阻害する要因が必要
●循環血漿量低下が最も重要
1.更にNaが喪失しないようにしたい⇒高アルドステロン
2.Cl-枯渇:胃酸喪失や利尿薬による
⇒尿管腔Cl-↓
⇒①尿の電気的中性を維持する為,集合管H+ATPase促進
②尿管腔側にあるCl-/HCO3-交換輸送体働かない
★臨床的には以下のように考える
●Cl反応性=Cl喪失:生食負荷に反応,尿中[Cl-] <20 mEq/L
・嘔吐,胃ドレナージ
・Cl喪失性下痢:大腸の絨毛腺腫,先天性
→HCO3-喪失による代謝性アシドーシスもきたしうる
・ループ,サイアザイド系利尿薬(過去の使用)
・高CO2血症後の状態:代償的なHCO3-高値
●Cl抵抗性:生食負荷に反応,尿中[Cl-] >20 mEq/L
[高血圧性]
・高アルドステロン:Na再吸収に伴うH+の排泄↑
→原発性;Conn症候群,続発性;循環血漿量↓,腎血管狭窄,レニン分泌性腫瘍など
・アルドステロン正常:アルドステロン以外の原因によるNa再吸収↑
→Cushing症候群,Liddle症候群,甘草
[血圧正常]
・低K血症:細胞内へのH+移行
・アルカリ負荷:重炭酸塩,輸血中のクエン酸など
・ループ・サイアザイド系利尿薬使用中
・Bartter症候群(ループ利尿薬様),Gitelman症候群(サイアザイド系利尿薬様)
※なぜ尿中[Cl-] で鑑別するか
⇒20以下の時,循環血漿量低下が考えられるから
…尿細管でNaと同じような動きをする
=循環血漿量が少ない場合には再吸収される
⇒Naは,代謝性アルカローシスの時では,電気的中性を保つために尿細管で排出されてしまう
⇒尿中Clは,尿中Naより正確に循環動態を反映する
参照 体液異常と腎臓の病態生理,UpToDateなど
更新 2013/11/30
➤低カリウム血症,尿中クロライド濃度,尿中ナトリウム濃度,重炭酸イオン