★持続期間で分類され、急性は原因が特定できうる。
■蕁麻疹の分類
・急性:6週間以内の発症
・慢性:再発性でほとんど毎日症状があり、それが6週以上続く
※ほとんど自然軽快する=急性
…6週間というのは一応の基準
■蕁麻疹の原因/病態
●蕁麻疹の基本病態
・表皮浅層にある、皮下肥満細胞と好塩基球が活性化
⇒ヒスタミン放出:痒くなる
血管拡張物質放出:限局した膨疹
※血管浮腫は、より深部で起きる同じ病態
●急性蕁麻疹の原因
・原因不明のことが多いが、慢性蕁麻疹と比較し原因特定できる事は多い
①感染
・小児例の80%は感染関連という報告もあり
⇒感染自体か、内服薬か特定はできないため
…多いのは、ピコルナ/ コロナ/ RSウイルス、A/B型肝炎、マイコプラズマなど
・寄生虫も原因となりうる
②IgEを介した免疫反応
・薬剤:特にβラクタム
・虫さされ
・ラテックス
・食べ物:牛乳、卵、ピーナッツ、魚などが多い。食べてから30分以内に発現
・接触:植物、野菜、魚、動物の唾液、石鹸など
・輸血
③肥満細胞の直接活性化(IgEを介さない反応)
・麻薬、筋弛緩薬、バンコマイシン(レッドマン症候群)、造影剤、NSAIDs
・食べ物:トマト、イチゴ(pseudo-allergenといわれる)
・他、寒冷刺激、血清病、プロゲステロン(低容量ピルなど)
●慢性蕁麻疹の病態
仮説がいくつかある
①自己免疫
・一部の患者で、ヒスタミン放出↑などに関与していると考えられる
・提唱されている自己抗体
…抗IgE抗体、抗Fc-ε-R1-α抗体(IgE受容体のαサブユニット)
⇒補体活性化を介して、肥満細胞活性化、ヒスタミン放出を促す
※但し、慢性蕁麻疹特異的でない(他の自己免疫疾患でも陽性となる)
②肥満細胞/ 好塩基球の遊走、シグナリング、機能の欠陥
・患者の肥満細胞/ 好塩基球数は高くなく、重症患者はむしろ低い
⇒患部に集簇している
・正常の好塩基球は、Fc-ε-R1-α刺激に反応してヒスタミンを出す
⇒慢性蕁麻疹患者では、半数の好塩基球がFc-ε-R1-α刺激に反応しない
※但し、好塩基球のアッセイは難しく、再現性に乏しい
③誘因がある(実証はほとんどない)
・慢性感染:ピロリ菌、A型肝炎、C型肝炎
・食事:肉、辛いもの、アルコールなど
⇒含まれるヒスタミン、アルコールの血管拡張作用により、一時的に症状増悪しうる
⇒但し一つの誘因にすぎない
参照 UpToDate