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心臓の解剖でEPSの際に基本となる、しかし混同されやすい事項

★心臓の前は、体の前とは違う!

◎前か後ろか?左か右か?初学者には非常にわかりにくい所です。しかも、はっきりと中々教えてもらえず、モヤモヤします。ここでは、指導医に教えてもらったことを、噛み砕いて説明します。

Anatomy for Cardiac Electrophysiologists: A Practical Handbook

 ↑少し高いですが、やはりこの本が良いと先輩方は言います。

■心臓の解剖で電気生理学的検査の際に重要なこと
●前と後ろ

・これが極めて間違えやすいのですが、「心臓の前」は「体の前(おへその方)」とは異なります
・心臓は斜めに位置しています。
心臓の前は、RAOで右向きの方です。
⇒つまり、体の左前方向が「心臓の前」なのです。

※これを理解していないと、非常に混乱します。しかし、このように明記してある本はなかなかありませんので、注意してください。


●左と右

・これも体の左右とは異なります。
「心臓の左」は左心系(左房と左室)側を意味します。


●上と下

頭側が上、尾側が下です。
心臓の上側には、右室流出路と左室流出路、肺動脈弁と大動脈弁があります
・心臓の下側には、右室と左室の心筋があります。


●中隔側

・心室中隔は、右室と左室を分け隔てる心筋です。
⇒これは、カテーテルが右室にある時、LAOで右方向です。
⇒つまり中隔は、体の左後ろに位置しています。
・中隔と反対方向を、自由壁(free wall)側と言います。


●弁下と弁上

・文字通り弁の上か下かですが、
大動脈弁の弁下は心室側僧帽弁の弁下も心室側です。
⇒アブレーションカテーテルのA波とV波の大きさの違いで区別できます。
・重要なことは、状況によって何の弁の上下なのか変わってくることです。

「弁上を焼く」とは、弁自体に通電しているわけではありません。
弁の外周(の心筋)に通電しているのです。
⇒「弁下を焼く」際も同様です。


●右心室の形態

・左心室は楕円球ですが、右心室は左心室を片側から覆うような形態をしています。
 

↑イメージです。三日月が右心室、黒い円が左心室内腔、その間の(何もない)白い部分が心筋(中隔)です。
・この図の右室の、前側の右室と左室の接合部をanterior attachment, 後ろ側の接合部をposterior attachmentと言います。


●右室流出路、大動脈弁の位置

これらが接していることを理解することが大事です。
⇒詳細には、右室流出路に接しているのは右冠尖(RCC)です。

大動脈弁で、心臓の前側にあるのは左冠尖(LCC)です。
※「あれ?RCCじゃないの?」と思った方は、体の前と心臓の前とを混同しています。
⇒CTで見ると、体の前側にあるのは、もちろんRCCです。
⇒しかし、心臓の前と体の前は意味合いが異なります。
⇒このページの最初からお読み下さい。

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