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心室期外収縮の起源を心電図12誘導から推定してみる

★EPS中の心臓解剖の言い回しがわかると(前回記事)、理解できるようになる。

◎不整脈の先生が心電図を見て、「これは〇〇起源っぽいな」と言いますが、どのように考えているのか不思議に思っていました。今は、大まかな解剖を頭に入れながら、アルゴリズム的に推定しているんじゃないかと思っています。ここでは、特発性PVCの起源推定の考え方をまとめてみました。


●下方軸か上方軸か

Ⅱ,Ⅲ,aVFで上向きならば、その期外収縮は下向きに伝導しています。
 =下方軸と言います
起源は上の方にあるということです。
⇒心臓の上側には右室/左室流出路、大動脈弁、肺動脈弁があります。
 ※PVC起源として圧倒的に多いのが右室流出路(RVOT)です。

・逆に、上方軸の場合、心室からのPVCかと思われます。

以下は、下方軸のPVCを鑑別していきます。


●左脚ブロック型か右脚ブロック型か

V1誘導を見ます。
R波がS波より高ければ、右脚ブロック型と言います。
⇒右脚ブロックなので、左から伝導するということです。
左室流出路(LVOT)起源です。

左脚ブロック型であれば、大動脈冠尖もしくはRVOT起源です。
 (大動脈冠尖は、意外に右寄りにあるのです)
⇒もちろん、大動脈冠尖の方が、RVOTよりは左にあります。
この鑑別は、V1, V2誘導を見ます
①波高において、R波/S波>0.3であれば、大動脈冠尖起源です。
②波の幅において、QRSの内Rが占める割合>0.5であれば、大動脈冠尖起源です。
※V1, V2で大きい方を採用します。


●前か、後ろか

「心臓の前」とは、RAOで右側です
 =体の左前側です
⇒前か後ろかは、Ⅰ誘導で鑑別します。
⇒Ⅰ誘導が+であれば、体の右から左へ伝導していることを意味します。
 =心臓の後ろから前側へ伝導していることを意味します
Ⅰ誘導が+は、後ろ側に起源があると推定します。
(RVOTの中でも後壁寄り、とか言えます)

●QRSの幅
・PVCは基本的にwide QRSですが、その幅にも注目します。
比較的narrowであれば、His束に近いということです。
中隔寄りに起源があると推定します。


●LCCか、RCCか

・PVCの起源が大動脈冠尖っぽい時に、ここまで考えます。
LCCがRCCより心臓の前側にあります
LCCでは、Ⅰ誘導にマイナス成分(つまりS波)を認めます。
 …RCC起源ではわずかです。

RCCは右、LCCは左にあります
⇒どちらが起源でも心臓の上から下へ伝導しますが、
 RCC起源であれば右から左、
 LCC起源であれば左から右、
の気持ちが残ります。
・Ⅱ誘導は右上から左下、Ⅲ誘導は左上から右下のベクトルです。
RCC起源であればR波がⅡ誘導>Ⅲ誘導
 LCC起源であればR波がⅢ誘導>Ⅱ誘導

となります。

・RCCは、RVOT(の後中隔)に接しています。
⇒RCC起源のものは、RVOT起源のものと似ます。

●大動脈弁下起源の特徴
LVOTは、心臓の上側ですが、RVOTと比べてやや下にあります。
Ⅱ,Ⅲ,aVFのR波がやや小さくなります

・また、心尖部までの距離も短くなります。
⇒RVOT起源ではV6はR波のみですが、
 LVOT起源ではV6にS波が出現します。
(伝導が心尖部まで行って少し帰ってくる、ということ)

●心外膜側(epi)か
・心外膜側起源は、Ⅱ,Ⅲ,aVFのR波の立ち上がりが緩やかになるのが特徴です。
 …indexはありますが、臨床的には使いづらいです
 ⇒impressionが大事なようです。

・epi起源のものは成功率が低くなるので、事前の推定が重要です。

・OT起源に近い心外膜側は、summitと呼ばれる箇所です。
 =LADとLCx分岐部の又の部分

参照 レジデント 2014年3月号別刷

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