内分泌・糖尿病 麻酔・外科・胸部外科

周術期にステロイドカバーを必要とする状況とは?

★視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の抑制が疑われる状況。

■ストレスへの生理的応答

・通常時はコルチゾール5-20μg/dl程度 
⇒ストレス下で産生増加、50μg/dl程度で維持される
 …侵襲が強い手術だと75-100μg/dl、多発外傷だと200μg/dl程度まで上昇
⇒術後で24時間程度、敗血症や多発外傷だと数日間高値となる

・長期間ステロイド内服している患者
⇒服用したステロイドがCRHを抑制
⇒ACTHも抑制される(HPA軸の抑制
⇒ストレスへ適切に応答できない
⇒ステロイド投与が必要となる;ステロイドカバー

■患者選択
●ステロイドカバー必要なし

3週間以内のステロイド服用患者
・プレドニゾロン5mg以内を朝服用している患者(期間は問わない)
・プレドニゾロン10mg以内の隔日服用

●ステロイドカバー必要あり

・プレドニゾロン20mg以上を3週間以上服用している患者
Cushing徴候を有する患者

●微妙

・過去にステロイド使っており、HPA抑制が疑われる場合
(強いHPA軸抑制は、回復に1年かかる)
・局所のステロイド投与
 …フルチカゾン750μg/day吸入を3週間以上、2g以上のClass Ⅰ-Ⅲステロイド塗布
⇒これらの場合、早朝コルチゾール測定をすべき
 …5μg/dl以下でステロイドカバー必要。
 …5-10μg/dlの場合、ACTH刺激試験。10以上ならカバー必要なし。


■具体的なステロイド投与量




手術

ステロイドカバー

小手術

ステロイド服用中の場合、そのまま内服するのみ

⇒局所麻酔下、体表面、内視鏡

ステロイド終了している場合、入室時にヒドロコルチゾン10mg div

中等度手術

入室時にヒドロコルチゾン25mg div

⇒腹部、整形外科、脳外科手術

その後24-36時間は、ヒドロコルチゾン12.5-25mg6-8時間毎にdiv

 

その後2-3日かけて、服用量までtapering

大手術

入室時にヒドロコルチゾン50mg div

⇒心臓、大血管手術

その後24-36時間は、ヒドロコルチゾン50mg6-8時間毎にdiv

 

その後2-3日かけて、服用量までtapering


 
参照  医学書院;もう膠原病は怖くない! UpToDate

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