★効果はあっても一時的であり、有害な可能性あるため勧められない。
■下肢挙上、Trendelenburg体位の理論
●根拠
・下肢挙上することで前負荷があがり、心拍出量が増える
=ショック時に血圧が上がる
⇒輸液・カテコラミンでない一つの方法として使える
●反論
・Trendelenburg体位でも1.8%しか体液移動しないとの研究あり
・血管内脱水(hypovolemia)の場合、容量血管(血液をストックしている静脈)が虚脱している
⇒心臓へ返る血液量は少ない
・Trendelenburg体位により腹部臓器が移動
⇒大静脈を圧迫
⇒圧受容器反射にぶらせる
⇒交感神経・副交感神経による血管収縮による血圧↑をにぶらせる
⇒血圧が下がる
■禁忌の患者が多い
・肥満の患者
⇒横隔膜上に押される+肺尖部に血液が移動し、換気不能となる
⇒換気量低下
・意識ある患者
⇒耐えられない
・意識ない患者
⇒頭蓋内の静脈に血液貯留
⇒頭蓋内圧↑、脳浮腫増悪
・冠動脈疾患ある患者
⇒心筋酸素需要量↑
⇒不整脈誘発
・下肢虚血の患者
⇒虚血増悪
■実際のエビデンス
・CO/CI、平均動脈圧は上がりうるが、ほんの少し
+しかも一過性(下肢挙上の状態でも前の血圧に戻る)
・アウトカムには全く影響しない
・血圧上がったことで臨床家に満足感を与えてしまう
⇒それ以上の治療行為をストップしてしまうかもしれない
※下肢挙上はエビデンスなし。患者の不快にならない程度に、下肢を30度程度挙上することは許容される。
参照 Am J Crit Care. 2012 Nov;21(6):449-52.