★降圧,冠動脈拡張,抗不整脈と作用が様々なので,混乱する!
■なぜ多様なのか
・カルシウムチャネル阻害薬は電位依存性Caチャネルを阻害する
⇒チャネルに色々な型がある
➤L型 (long lasting),T型 (transient),N型 (neural),その他(P/Q型など)
・平滑筋収縮,心筋の電気活動:L型
・腎において,輸入細動脈:L型とT型
輸出細動脈:N型とT型
・臨床で使われるCa拮抗薬は,少なくともL型は阻害する
⇒しかしL型チャネルでも結合部位により,以下効果の選択性に違いが現れる
①血管拡張効果:静脈<動脈
輸出細動脈<輸入細動脈→腎への負担
②心臓への作用:陰性変時作用,房室結節の伝導抑制作用
■Ca阻害薬の種類
1.ジヒドロピリジン系
・名前に「ジピン」がつく
・L型CaチャネルのN部位に作用
・血管拡張,降圧作用が強い.心筋への作用はほとんどない
<第一世代>
①アダラート(ニフェジピン)
・L型のみ作用.血管選択性高く,降圧作用強い.冠攣縮も予防
⇒血圧高めの異形狭心症予防として使える
※高血圧緊急症にアダラートを噛み砕いて服用するのは禁忌
…反応性低血圧のため
・糸球体高血圧のある腎臓には負担となる
・浮腫が生じうる
<第二世代>
・副作用抑え,組織選択性↑
②コニール(ベニジピン)
・L,T,N型に作用.降圧作用は微妙だが,冠攣縮予防と腎保護作用あり
⇒異形狭心症予防として,①と並んで使われる
特に腎障害あるときなど
③ペルジピン(ニカルジピン)
・L型のみ作用.副作用は相対的に少ない
・経口薬はあまり使われない
⇒降圧目的の静注薬といえばニカルジピン
⇒心外術中術後,大動脈瘤など
④アテレック(シルニジピン)
・L,N型に作用.輸出細動脈拡張による腎保護作用がフューチャーされる
・降圧効果は微妙
⇒糖尿病,腎機能障害ある患者に使いやすい
<第三世代>
・安定して降圧できる
⑤アムロジン,ノルバスク(アムロジピン)
・L型のみ作用.
・反射性の心拍数↑,交感神経↑が少ない
・狭心症にも有用だが,単剤では用いられない
※冠攣縮には使えない
・エックスフォージ(ARBとの合剤)など,合剤としてよく用いられる
⑥カルブロック(アゼルニジピン)
・L,T型に作用.
・じっくり効く.心拍数が低下する
・抗炎症作用も注目される
⇒しかし,今まだそれほど使用されない
2.非ジヒドロピリジン系
・心筋への作用が大きい
・Ⅳ群抗不整脈薬に分類される
①ヘルベッサー(ジルチアゼム)
・L型CaチャネルのD部位に作用
・冠動脈拡張作用強く,血圧はあまり下げない
⇒正常血圧の狭心症に良い
・また洞性興奮,房室伝導をブロック
⇒高血圧でレートの高い患者に良い
・ニフェジピンとベラパミルの中間として考えられる
②ベプリコール(ベプリジル)
・Caだけでなく,Na,Kチャネルも遮断する
・QT延長が起こりやすい
⇒割と使いにくい
③ワソラン(ベラパミル)
・L型CaチャネルのV部位に作用
・降圧作用はなく,完全に抗不整脈薬
⇒洞性興奮,房室伝導をブロック
⇒大半のPSVTは停止するし,しなくともレート抑制できる
※ベラパミル感受性特発性VT
…右脚ブロック+左軸偏移型VT:Ca電流に依存する線維を含むリエントリー
⇒著効する
参照 UpToDate
http://morumorumoru.cocolog-nifty.com/utubo1978/2012/04/post-05f2.html
http://kaenguma.seesaa.net/article/237467087.html
循環器治療薬ファイル