★実際は注意して酸素を与える。
◎二酸化炭素と酸素の化学的変化を理解しましょう。
■健常人
・CO2蓄積
⇒脳血流関門をこえ、H+ + HCO3-となる(参照:https://chishiegg.com/archives/40292787.html)
=H+を放出
⇒延髄の中枢化学受容体を直接刺激
⇒呼吸回数↑
…PaCO2 1上昇により2〜4L/min呼吸↑;相関して変化する
・低O2
⇒化学受容体刺激
・大動脈弓⇒舌咽神経刺激
・頸動脈⇒迷走神経刺激
⇒延髄呼吸中枢刺激
※PaO2 < 60となって初めて呼吸刺激へ関与する
■COPD患者、肺野が小さい患者(胸郭形成術後など)
・慢性的に高CO2血症
⇒二酸化炭素による直接刺激がなくなる
⇒低酸素による刺激のみ
⇒酸素を与えると呼吸刺激↓、高CO2血症増悪
=ナルコーシス
●実際にCOPD患者に酸素投与した研究
⇒①呼吸回数↓
②HbのCO2への親和性↓(Haldane効果):これによりPaCO2↑
③死腔換気↑=呼吸が浅くなる
■適切な酸素療法は?
●酸素投与でCO2濃度↑だが、低酸素は許容できない
⇒酸素療法行う必要があり、以下が目安。
・PaO2:60〜70%を目標にする
※SpO2はあまり当てにならないが、90%前後を目標とする。
・FIO2は4~7%とちょっとずつ上げていく(モニターしながら)
・PaCO2<85なら重篤な意識障害は起きないので、許容できる
・但し、pH<7.2や意識障害が出てきたら挿管の適応
参照 UpToDate, 呼吸器内科医