★推奨される.
◎ルーチンで出しがちな指示についての考察です。
■解熱の適応
・基本的に熱を下げるのに問題はありません
⇒熱自体が感染からの回復・免疫力向上に効果がある,という研究はないのです!
+末梢のPGE2産生は免疫低下作用有り(NSAIDsはこれを抑制できるため、よい)
・熱を下げると,他の症状も改善します
…倦怠感,関節痛,頭痛など
⇒高熱による神経障害も軽減できます
⇒よって、基本的に解熱はすべきです。
・ただし,熱型が診断に有用な場合を除く
⇒実際に臨床で有用なのは
…熱の日内変動が小さい→チフス,粟状結核
比較的除脈→チフス,ブルセラ,レプトスピラ症,薬剤熱,結核
○日ごと→マラリア,周期性好中球減少症
など。
(入院中にこれらを手がかりとすることは、あまりありませんが)
■発熱のメカニズム
・細胞膜からアラキドン酸放出
⇒アラキドン酸カスケード↑
⇒COXによるPGE2産生
⇒視床下部のセットポイント上昇
⇒発熱
■解熱薬のメカニズム
●NSAIDs:
⇒COXを阻害する
●アセトアミノフェン:
⇒脳内のp450シトクローム系により酸化される
⇒その酸化物がCOXを抑制
…だから末梢での抗炎症作用はありません
●ステロイド:
①ホスホリパーゼA2を抑制
⇒アラキドン酸の細胞膜からの放出を抑制
②発熱に関わるサイトカインのmRNA転写を抑制
■基本的な解熱の考え方
①まずセットポイントを下げる=アセトアミノフェンを用いる
②次に熱の損失を促す=クーリング
※クーリングの特徴(特に熱中症の場合)
・熱の放散により,体温を下げる事が出来る
・クーリングブランケットが有用
⇒しかし,過剰な血管収縮を促し,逆に熱の放散を妨げるおそれ
・体表面の温度が30℃以下になるとシバリングを誘発
⇒熱を上げてしまう!
参照 UpToDate,ICU book