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抗血小板作用のあるNSAIDsはアスピリンだけ? ★NSAIDsの作用機序

★アスピリンのみ,COXを非可逆的に阻害する!
○COXの下流にTXA2,PGI2がある.

 ・TXA2血小板より産生

⇒血小板凝集を増強
⇒アスピリンはCOX-1を非可逆的に抑制
⇒TXA2を不可逆的に失活
血小板は核が無いため,新しい酵素作れない
⇒血小板の寿命(3~7日)の間,TXA2欠乏
⇒血小板凝集↓
※これは低用量から起きる
 
PGI2血管内皮細胞より産生
⇒血小板凝集を抑制
⇒アスピリンによりPGI2も抑制される 
⇒血小板凝集↑
⇒しかし,血管内皮細胞は核を持つため,新しいCOXを産生できる
⇒PGI2は不可逆的に失活はしない
⇒TXA2程の影響はない
※しかも,これは高用量から起きる

●以上より,アスピリン⇒血小板凝集低下=抗凝固作用
他のNSAIDs
⇒TXA2阻害が可逆的
⇒薬剤服用後の一定時間に限られる
⇒抗血小板薬として使えない

NSAIDsの作用機序

①抗炎症
COX阻害によるPG産生↓
PGがメディエーターとして働いている炎症↓

②鎮痛
PGE2
⇒ブラジキニン,ヒスタミンなどに対する痛覚神経終末の閾値↓
⇒これを改善する

③解熱
PGE2
⇒視床下部の体温セットポイントが上昇する
⇒これを改善+末梢血管の拡張,発汗
⇒発熱患者の体温を低下(正常体温には影響しない)

④肺胞換気量↑
サリチル酸類
⇒酸化的リン酸化をアンカップル
 ⇒二酸化炭素の上昇
+延髄呼吸中枢に作用
⇒呼吸促進
通常は腎臓により十分代償される
※中毒量では呼吸中枢麻痺⇒呼吸不全(アシドーシス)

⑤胃粘膜障害
PGI2:胃酸分泌↓
PGE2:胃と小腸で粘液産生↑
⇒これらを抑制
※これに対し,
PGE1誘導体:ミソプロストール(サイトテック)を併用する

⑥抗凝固作用
TXA2:血小板より産生
⇒血小板凝集を増強
⇒アスピリンはCOX
非可逆的に抑制
⇒血小板は核が無いため,新しい酵素作れない
⇒血小板の寿命(37日)の間,TXA2欠乏
⇒血小板凝集↓
PGI2:血管内皮細胞より産生
⇒血小板凝集を抑制
⇒アスピリンによりPGI2も抑制される
しかし,血管内皮細胞は核を持つため,新しいCOXを産生できる
●以上より,血小板凝集低下=抗凝固作用

⑦水分貯留,浮腫
・アンジオテンシン,カテコールアミン,バソプレシン
⇒血管収縮物質
⇒腎血管を収縮
PG
血管収縮物質の,腎臓での作用に拮抗
⇒血管収縮しにくい
COX阻害
PG阻害
⇒腎血管収縮の方向へ作用
⇒濾過量↓
⇒水分,Naの貯留

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