整形外科・皮膚・形成 薬剤

痒み止めの使い分け

★痒み⇔皮膚病変悪化の悪循環を抑える!

①抗ヒスタミン薬
・末梢性,中枢性(下記参照)のいずれにも有用
⇒皮疹のない痒み(皮膚搔痒症)にも有用
⇒但し,アトピー性皮膚炎には効きにくい
・世代
第一世代: 抗ヒスタミン作用
       抗コリン作用⇒口渇,便秘,排尿障害,緑内障・前立腺肥大で禁忌
       中枢神経抑制(眠気)が強い
ex.アタラックス,レスタミン,ポララミン,ヒベルナ,タベジール
第二世代: 抗ヒスタミン作用:H1受容体に対する選択性高い
                 ※H2受容体は胃酸分泌に関与
       ケミカルメディエーター遊離抑制作用(+)
       血液脳関門通過しにくく,眠気少ない
ex.エバステル,アレジオン,アレロック,アレグラ,ザジテン,タリオン,クラリチン,ジルテック,アゼプチン
まず第二世代用いる!
・代謝
ほぼ肝排泄
⇒腎排泄:ザジテン,アレロック,タリオン,ジルテック

②保湿+皮膚保護薬

・外部刺激を減らす目的=単独では改善しにくい
・形状
  軟膏⇒機能よいが,べたつく
  クリーム⇒顔面,汗かきやすい部位(接触性皮膚炎に注意)
 ローション⇒頭皮,広範囲の病変(接触性皮膚炎に注意)
・成分
  尿素含有(ウレパール):刺激性あり⇒粘膜,びらんには×
  白色ワセリン:異物感,べとつき
  動物性油脂(アズノール,亜鉛華):乾燥しやすく,日光に弱い
  ヘパリン類似物質(ヒルドイド):出血傾向の患者に×

③ステロイド外用薬・免疫抑制薬

・weak~strongestまで5段階ある
⇒使い分け:皮疹の重症度・部位(頭皮,前頸,易かなどは吸収良いため1-2ランク下げる)
         年齢(小児では1-2ランク下げる)
・ステロイドの効き悪いor 有害事象で使えない
⇒免疫抑制薬使う

④オピオイドκ受容体作動薬(レミッチ)

血液透析患者に適応
⇒既存治療の効果が不十分な場合
※モルヒネはμ受容体作動薬:痛みを抑制する一方,痒みを増強させる

■痒みのメカニズム
末梢:(炎症⇒)ケミカルメディエーター遊離
   ⇒ヒスタミンはH1受容体に結合.ILやサブスタンスP,PG,炎症性サイトカインも関与
   ⇒C線維(痒みを伝達)⇒脊髄へ
中枢:脊髄(脊髄視床路)⇒大脳皮質オピオイド受容体⇒痒み

◎痒み⇒掻破⇒大脳皮質刺激(positive feedback)+末梢のケミカルメディエーター遊離助長
乾燥肌
表皮内に知覚神経が侵入
⇒外部からの刺激で痒み生じやすい
皮膚搔痒症:皮疹のない痒み
⇒乾燥,腎不全,癌,糖尿病,甲状腺疾患,多発性硬化症,鉄欠乏性貧血などによる
⇒メカニズムは明らかでない

参照 頻用薬の使い分け

 

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