★肺胞上皮細胞成熟+サーファクタント産生促進。
■ステロイドが効く機序
・Ⅰ型、Ⅱ型肺胞上皮細胞の形態的成熟を促す
・Ⅱ型肺胞上皮細胞において、サーファクタント放出を促進する
…ステロイドが細胞に取り込まれる
⇒核内に入り込み、mRNA産生
⇒様々な酵素を合成、リン脂質合成↑
⇒層状封入体にて、リン脂質からサーファクタント合成
・有用な蛋白合成↑
…サーファクタント結合蛋白、肺の抗酸化酵素など
※投与時期
・22週だとほとんど期待できない
…上記の変化が起こるには、ステロイドに反応できるだけ成熟している必要あるため
・34週以降だと肺成熟しており、ステロイド投与で利益があるとするエビデンスに乏しい
・投与後数時間で効果が出始め、48時間で最高となる、という報告あり
■肺成熟の指標
・1つの検査のみ施行されることが推奨される。
①層状封入体数カウント
・層状封入体はサーファクタントのもとで、Ⅱ型肺胞上皮細胞の分泌顆粒と考えられている
⇒サーファクタントの直接計測となる
・簡便で、胎便混入は問題とならない;血液は問題となる
②レシチン/ スフィンゴミエリン比
・胎児肺から分泌物がある
⇒レシチンはサーファクタントの主成分であり32週より増加、スフィンゴミエリンはほとんど変わらない
+羊水量が測れないため、レシチンの絶対値は当てになれない
⇒レシチン/ スフィンゴミエリン比で考え、2以上で成熟と見なす
③ホスファチジルグリセオール
・レシチンより数週間後に上昇し始める(35週程度)
⇒肺胞へのリン脂質拡散を促進する;肺成熟後期の指標
・陽性か陰性かで判断される
④サーファクタント/ アルブミン比
・直接サーファクタントを見ており、信頼性高い
・しかし値の幅が大きい+グレーゾーンが大きい
⇒検査法の問題であり、現在改良中。
※①-④総じて「成熟している」的中率は高い(95-100%)が、「未成熟」の的中率は低い(30-60%)
参照 UpToDate