膠原・アレルギー

Marfan症候群⇒嚢胞性中膜壊死

★遺伝子異常が重要だが,研究段階.

◎非常にマニアックですが、気になりました。

■嚢胞性中膜壊死とは
病理の名前です。
⇒嚢胞性とあるが,実際に嚢胞はなく,それっぽく見えることから名づけられました。
・近位の動脈が侵されることが特徴です.
 …理由は不明

■マルファン症候群は、フィブリン形成の異常が原因
fibrillin-1,2遺伝子:細胞外基質のマイクロフィブリンの構成要素
⇒fibrillin-1の異常
⇒フィブリン形成がうまくいきません

mutant fibrillin-1自体のせいではなく,fibrillin-1遺伝子が足りないことが原因かもしれません
⇒治療の余地かも。                 

■先天性の形成不全というよりは,徐々に進行する
・血管は,弾性板により形が保たれます。
⇒弾性板の結合フィラメントは,fibrillin-1で作られます
⇒fibrillin-1がないと,MMP産生↑,ケモアトラクタント産生↑によりマクロファージの浸潤↑
⇒もともとの血管形成不全というより,徐々に壁のdegenerationが進行するのです。

■TGF-βが重要
・マイクロフィブリンはTGF-βをコントロールします。
 ※TGF-βは,他の炎症性サイトカインと同様,細胞増殖・分化・アポトーシス・マトリックス沈着等に関わります
⇒MarfanではTGF-β活性↑
⇒ARBのロサルタン(TGF-β抑制する)により,大動脈拡大のスピードが遅くなります。

 ※βブロッカーではこの効果ないため,循環動態というよりTGF-β抑制が重要なのです。
…要は,ロサルタンが効いたから重要だと思われています。

参照 Heart. 2007 June; 93(6): 755–760. UpToDate

-膠原・アレルギー