★NOの作用増強するため,血圧が低下する!
硝酸薬とホスホジエステラーゼ阻害薬を併用すると血圧が下がります。
それは臨床上常識です。
一方、その詳細なメカニズムはややマイナー知識で、知らなくても大丈夫だと思いますが、薬理学的な論理背景があることは大事です。
cGMPについて理解することが必要です。
ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬の作用機序
*バイアグラなどです
●性的刺激〜勃起
⇒NO産生
⇒グアニル酸シクラーゼ活性化
⇒GTP(グアノシン三リン酸)をcGMPに変換
⇒cGMPは細胞内Ca濃度を低下
⇒平滑筋弛緩
⇒血流↑,勃起
●PDE阻害薬の機序
・分解:cGMP⇒GMP
⇒この反応はPDE5による
⇒PDE阻害薬はこれを阻害
⇒cGMPの作用を持続させる
⇒勃起持続
※PDE5は特に陰茎海綿体に存在=勃起障害改善薬として用いられます
(肺動脈平滑筋にも多く発現しているため,肺高血圧症にもPDE5阻害薬は有効)
硝酸薬(ニトロ)の作用機序
●硝酸薬
⇒細胞内で亜硝酸イオン
⇒NO
⇒cGMP↑
⇒平滑筋弛緩
硝酸薬とPDE阻害薬を併用すると?
★PDE阻害薬はcGMPの分解抑制,硝酸薬はcGMPの産生促進
・併用すると細胞内cGMP濃度↑↑
⇒平滑筋弛緩,低血圧
よって併用禁忌なのです。
参照 リッピンコット薬理学